４話 ページ13
「はぁ、疲れた。」
民宿の玄関を開け、よろよろと数歩歩き、オレは玄関先でぶっ倒れた。
帰り道、他のクラスのやつからの質問を適当にあしらいながら帰宅した。
これがもってのほか疲れるんだ。
チッ。これからもしばらく続くんだろうな。
はぁ、人間のいないような森の奥に引きこもりてぇ。
そんなことを思いながら、額に手を乗せた。ちょうどその時、民宿の玄関が開いた。
入って来たのは近所のおばさん。ここ最近地味に仲良くなった。
「…アンゲルスくん何してるの。」
オレの姿を見たおばさんは、微妙な顔をしながら言った。まあ、そりゃ引くよな。玄関先でぶっ倒れてるんだから。
「力尽きたものですから……。」
そう言って、オレはゆっくりと上半身を起こし、靴を脱いだ。
「頑張って部屋まで行きなさいな。もう。アンゲルスくん以外ここの民宿使ってる人いないんだから、そのまま寝て風邪でも引いたらどうするの。」
含み笑いをするおばさんの顔は、数十年前はかなり美人だったことが伺える。
つーか、実際美人だったらしい。ジッちゃん(民宿のおばさんの旦那さん)が言ってた。
「すいません。以後気をつけます。」
少し笑って、最後にえへへと付ければ愛される人間像の完成。
「あ、そういえば、何か用があったのでは？」
首を少し横に傾け、おばさんに聞いた。
おばさんは、そうそうと笑いながら、返した。
「今日のお夕飯、うちに食べに来ない？」
「お、おばさんの家にですか?!」
予想外のその言葉に、オレは驚きを隠せなかった。
予想していたのは、ご飯作りすぎちゃったからどうぞーとかそんな言葉だった。
おばさんは、オレが驚いたのは嫌だからととったのか、あら？と、手を頬にあてた。
「そんなに汚くないわよ〜？おばさんの家。嫌がることないじゃない。」
不機嫌そうな口ぶりで言うおばさん。オレは言葉につまり、とりあえずおばさんの靴を見た。
「えっと、嫌じゃないんですけど……。なんというか……」
驚いただけです。そう言おうとしたのに、おばさんはオレの言葉を遮りこう言った。
「あ！わかった!!アンゲルスくん早速ガールフレンドできたんでしょ！それで、夕御飯誘われてるのね。」
「いやいやいや！違いますよ!!彼女どころか友達さえいませんから!!」
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作者名：奈宇 | 作成日時：2017年11月13日 21時
