57話▼最後の砦 ページ10
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何だか、長い夢を見ているようだった。
私は、何もない空間をただ漂っていた。
あるのは、遠くに差す一筋の光だけ。
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あの後、何が起きたのかさっぱり分からない。
気絶してからの記憶が何も覚えていない。
…そうだ、皆は?
デルカダール王は?
…グレイグは?
みんな、どうしてるんだろう。
取り敢えず、此処から出ないと何も始まらない。
私は光を目指して進んでいった。
▽
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『…………ん、』
目が覚めるとそこは見覚えのない建物の中だった
外はどんよりと厚い雲に覆われ、太陽の光も見えていなかった。
「…!お目覚めになられたのですね…、直ぐにお医者様をお呼びいたします…!」
近くにいた女性が医者を呼びに外へ出て行った。
(……身体が、重い……。)
どれだけ、長い間寝ていたのが目に見える。
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「A…!」
私の名前を呼ぶ声‥
この声、知ってる……。
貴方の声が聞きたかった。
チカラが入らない足を無理矢理動かし声の主の元へ飛び込んだ。
『……グレイグ…!』
ふらつく私を難なく抱き留めるグレイグ。
「無理をするな、長く寝込んでいたから力が入らないんだろう。」
『‥そう、ね。ごめんなさい、何だか、、久し振りだと感じちゃって…』
彼は私をベッドへ戻し、共に来た医者に診てもらった。
「……特に、身体の異常は見つかりませんでした。
ただ、長い間寝込んでいた為身体が衰えていますのでリハビリを忘れずに行ってください」
『はい、ありがとうございます』
「では、私はこれで」
▽
「……」
『……』
静まり返る建物の中‥、
何を話せば良いか正直迷っていた。
「…心配していた」
『…へっ?』
「長く眠っているAが心配で堪らなかった。
‥何だろうな、子どもの頃からの付き合いだから失うのがとても恐ろしかったんだ」
グレイグは拳を握り締める。
私はその手に自分の手を重ねた。
『心配してくれて、ありがとう…私も、辛いの、貴方を失う事が…貴方がウルノーガにやられた時、
私の中で何かが切れたの…失いたくない為なのか自分を止める事が出来なかった…。ごめんね、』
「…お互い様だな」
『ふふ、そうね。』
やっぱり、私は貴方とじゃないとムリみたい…
(…なんて事、口が裂けても言えないな…)
彼に対する私の気持ちが変わってきている。
でも、その気持ちに蓋をする。
貴方の邪魔にならないために…
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ちゅん(プロフ) - 初めてこの作品を読ませていただきました。すっごく面白くて大好きになりました!もう更新はされないんですか?更新待ってます。 (2021年5月24日 23時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
声優2次元大好き!(プロフ) - この作品大好きです! 続き楽しみにしてます! 更新頑張ってください! (2018年12月15日 19時) (レス) id: ab94ca0abd (このIDを非表示/違反報告)
まほ - コメント失礼します…語彙力なくて説明出来ないんですけどほんと好きです!更新頑張ってください(*´ω`*) (2018年11月25日 23時) (レス) id: c27f112a36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りな | 作成日時:2018年9月18日 14時