60話▼ ページ13
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「のう…イレブンよ。ひとつだけ、聞かせてくれ‥
我が娘‥マルティナは生きておるか?」
「‥‥…僕にも、分かりません。」
「……そうか。」
「でも、信じて待ってれば希望は見えてきますよ。
きっと…。」
マルティナ姫、貴女様は今何処におられるのですか?
すると、外から馬の鳴き声が聞こえた。
どうやら、彼等が戻ってきたようだ。
「報告致します!
……英雄の帰還です!今回もっ……逃げ遅れた民を
…救い出したようですっ!」
「さて、我らの英雄殿がお帰りか。
……望まぬことやもしれんがそなたもあやつを出迎えてやってくれ。…A」
『はい、イレブン…外へ向かいましょう』
・
砦の入り口には沢山の民が出迎えていた。
私達もその中の端に混じり、彼の帰還を待った。
「…僕、どんな顔して会ったら良いのですかね?」
『…いつも通りで大丈夫ですよ。彼も、あの光景を見ていたんですから…』
すると前の方から民の声が聞こえてきた。
どうやら、彼が砦に着いたらしい。
『グレイグ、お疲れ様。』
「嗚呼…。!……生きて、いたのか。」
グレイグもイレブンが生きていた事には驚きはしなかった。
「良くぞ戻ったな、グレイグ。
……して、成果は?」
兵を引き連れた陛下が成果を聞く。
「デルカダール城に何やら不穏な動きが…。
闇に乗じて何かが起きましょう。王よ、民たちを安全な場所へ……。
…皆聞け!じき、魔物共が来るっ!戦いに備えよ!
篝火をたけ!」
『…グレイグ、私も‥』
「……Aは砦の中にいてくれ。」
『‥私も、もう戦える程の体力は戻ったわ‥!
それでも、私は戦わせてくれないの?』
グレイグは無言で私の前を通り過ぎた。
なんで、
何で答えてくれないの?
無理なら、それなりの理由がある筈よね‥。
女だから?
力不足だから?
非力だから?
『……もう、知らない。』
「Aさん…?」
『ごめんね、少し一人にしてくれないかしら。』
イレブンにそう伝え、私は人気のない場所へ向かった。
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『……。』
私だって、国のため、民のため…頑張ってきたのに
砦内を流れる川をじっと見つめる。
何も…考えたくない。
膝を折り曲げ、身体を小さく丸める。
「…A、此処にいたのか。」
『!…へ、陛下…』
「…さっきの事で落ち込んでおるのか…?」
『……』(コクリ
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ちゅん(プロフ) - 初めてこの作品を読ませていただきました。すっごく面白くて大好きになりました!もう更新はされないんですか?更新待ってます。 (2021年5月24日 23時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
声優2次元大好き!(プロフ) - この作品大好きです! 続き楽しみにしてます! 更新頑張ってください! (2018年12月15日 19時) (レス) id: ab94ca0abd (このIDを非表示/違反報告)
まほ - コメント失礼します…語彙力なくて説明出来ないんですけどほんと好きです!更新頑張ってください(*´ω`*) (2018年11月25日 23時) (レス) id: c27f112a36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りな | 作成日時:2018年9月18日 14時