立浪草 (ページ17)

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17輪目ページ17

「頑張ってるな」

「頑張ってなんかないですよ。みんなと同じように過ごしてるだけです」

「そうか？俺には頑張ってるように見えるぞ？」

そうですかねっと苦笑する私にそうだと言い切る。

「何かしら頑張ってるから生きていけてんだよ。ただみんな麻痺してるから頑張ってる感覚になれないだけだ」

仕事、勉強、部活、バイトに朝早く起きること、歩くことさえ。

でも確かに足が不自由じゃなくても起き上がって歩くことができない人もいる。

心の病。

みんなその病にかからない為に頑張るという薬を飲み続けその結果、感覚が麻痺し頑張っていると思えなくなる。

麻痺した身体に薬を与え続け次第に量が増えていく。

いくら頑張っても足りていないと錯覚をおこす。

錯覚をおこしたらそれはもう死に繋がる。

確かにそうなのかもしれない。

霊幻さんは凄いなぁ。

「お前がどうしても死にたい、もう無理だって本気で思って実行するなら止めない。もうAも大人だしな」

「子供だったら止めたんですか？」

「そりゃ子供を守るのが大人の役目だろ？？」

ドヤ顔でキメてくる霊幻さんに思わず笑ってしまう。

「笑えるなら今日は大丈夫そうだな」

「はい、ありがとうございます」

本当に、この人には助けて貰ってばっかりだな。

親孝行、何にしようかな。

「霊幻さん、どこか行きたいとことかありますか？」

「え？なになに連れてってくれんの？」

はいと言うと北海道や沖縄など定番な所に加え海外まで上げていく。

そんな霊幻さんを微笑みながら見つめる。

「けど、やっぱお前が長生きしてくれるのが1番の親孝行だわ」

「え？」

「これ親孝行の話だろ？んなもん長生きしてくれるのが1番だ」

親にとって子が自分より長生きすることが1番の親孝行だとよく耳にする。

つまりそういう事だ。

「あ、でも連れてってくれてもいいんだぞ？」

「はい、勿論」