検索窓
今日:1 hit、昨日:17 hit、合計:170,755 hit

二十冊目 ページ21

――熱い

――周りが紅い


『父さん!!母さん!!』


――喉が灼ける


「逃げろ弥歳!お前だけでも生きるんだ!!」

『嫌だ!!僕を――』





1人ニシナイデ…――









『――っは!』


目が覚めると、そこはいつもの寝室だった。


「すぅ…すぅ…」


隣を見れば、安らかな寝息を立てている絢菜。

優しく頬を撫でると、身じろぎをしたので思わず手を離した。


「んっ……弥歳、さん…?」

『ごめん絢菜、起こしたか?』

「どう、したの?」

『何でもない。起こしてごめんな』

「…弥歳さん、溜め込んでばかりだとその内風船みたいに破裂しちゃうよ?」


絢菜の言葉にドキッとした。

たまにコイツは、意図してなくとも核心をつくから困ったもんだ。


俺は絢菜の胸に顔を埋めるように抱きしめると、ぽつぽつと話し出した。


『……昔の、夢を見たんだ』


あれはもう50年も前の事だ。

俺がまだ、江戸川君たちみたいな子供だった時。


俺の家が、火事になった。


発火の原因は放火だった。

犯人は近所の子供。警官だった親父に注意された腹いせだったらしい。

俺と同じくらいのソイツは、不注意で花火を点火してしまったと言っていたが、目が笑っていた。


あの火事で、結局父親と母親は死亡。俺だけが生き残った。


アイツは腹いせで俺の両親を殺したんだ。

そしてその事を、反省するどころが嘲笑っていた。


俺は許せなかった。

アイツをいつか逮捕して、法の裁きに処してやるとがむしゃらに勉強して警察になった。


『こないだの列車事故の火事で、俺はまた喪うんじゃないかと思った。
絢菜が目の前にいても、あの時零がいなかった。
零の実力は知ってるさ。でも、火事はどうしようもねぇんだよ…!』

「大丈夫だよ弥歳さん。あの後、零からちゃんと電話がきたじゃない。あの子は大丈夫」


大丈夫、と繰り返しながら、絢菜はぎこちなく俺の頭を撫でてくれる。


『……あぁ、そう…だな』


絢菜に話すと落ち着く。これが愛する者の為せる技か。


『ありがとう絢菜。そろそろ寝る』

「そう?なら、腕を離してくれると嬉しi」
『おやすみ〜』

「弥歳さーん!!」


絢菜の悲鳴に似た俺の名前を呼ぶ声を聞きながら、俺は目を閉じた。

終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)


←十九冊目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (238 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
378人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , ギャグ , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ナーガ(プロフ) - 伊万里ほうすいさん» イメージはそんな感じです。これから時計じかけの摩天楼編に入る予定なんですが、DVDがないのでなかなか進みません(´;ω;`)もう少し待っていてください。 (2017年12月19日 5時) (レス) id: b1c1ba0bdd (このIDを非表示/違反報告)
伊万里ほうすい - ああ……コメント失礼します……主人公のジョセフ並感……めっっっちゃ好きです。奥様はスージーQに見えてきます。もうっ…好きです。ジョセフが波紋やめてなかったらこうなってたんでしょうね… (2017年12月19日 2時) (レス) id: 366a3518b4 (このIDを非表示/違反報告)
ナーガ(プロフ) - 亜純さん» ありがとうございます。今は映画の話を書く予定なのですが、DVDがないのでもう少し先になりそうです。でも待っていてくれると嬉しいです! (2017年9月30日 14時) (レス) id: f9f66c5a0b (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - 初めまして!とってもいいです!!最高です!!更新頑張って下さい!! 応援しています! (2017年9月30日 13時) (レス) id: f65f9d6e58 (このIDを非表示/違反報告)
月姫@日向うさぎ(プロフ) - 初めまして。まさかの、安室さんご両親設定!面白かったです(笑) (2017年5月13日 13時) (レス) id: a974538f12 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ナーガ | 作成日時:2017年2月10日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。