小さな寝息 ページ22
随分長い道のりに感じられる速度で戻って来たホテル。
ジュンを抱えたまま名前を告げた。
「鍵…お願いします…。」
フロントの女性は心配そうな顔。
* 「男手を…呼びますか…？」
「あ、いえ。ありがとうございます。」
額に薄っすら汗を浮かべていたせいだろうか。
Aは苦笑いで鍵を受け取った。
エレベーターに乗り込んで鍵に書かれた階を押す。
『ジュン。大丈夫…？もうすぐ部屋だからね。』
JN『A…水…。』
『うん…部屋に着いたらあげるから…。』
降りてすぐの部屋。
鍵を差し込んで開ければ、狭い空間。
自分よりずっと大きなジュンをベッドに座らせた。
冷蔵庫を開けて、ペットボトルを掴むと蓋を開けて握らせる。
『ほら。ジュン、お水飲んで。』
JN『あり…がと…。』
ゴクゴクと喉を鳴らしていた。
シャツのボタンを外そうとするジュン。
力が入らなくてうまく出来ない。
JN『A…外して…。』
『もう…子供みたい…。』
上からいくつか外してあげるボタン。
その手を大きな手に掴まれた。
虚ろな視線で見つめられる。
JN『A…。』
もう片方の手が頬を包むと、親指の先で唇を撫でる。
JN『愛してる…。愛してるんだ…。』
少しも反らせない視線が絡みついた。
JN『ここにいて…。どこにも行かないで…。』
『……ジュン…。』
その声は…
泣いていた…
JN『側にいて…A…。』
歪んでしまうAの顔。
JN『Aがいないと…生きていけない…。』
心を鷲掴みにされているような息苦しさ。
色気すら漂わせる顔が近づいてくる。
お酒の匂いと一緒に。
ジュンの瞼が落ちて、唇に触れ合う瞬間。
頭がAの肩にもたれた。
重みで思わず押し倒される。
『ちょっ…ジュ…ジュン…。』
慌てて身体を引き離そうとするAの耳元で聞こえる。
小さな寝息。
細い腕をしっかり掴んで、Aの身体を押し倒したまま、ジュンはお酒に負けて眠りに落ちていた。
安堵の息を深く吐き出すAは、大きな身体から抜け出す。
靴を脱がせてベッドに上げると布団をかけた。
"愛してる…側にいて…A"
『ジュン…ごめんね…。』
見下ろすジュンに囁くように言った。
『おやすみなさい…。』
頬に小さなキスを落とすと、部屋を一度振り返ってホテルを後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 146人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りん(プロフ) - ドンちゃん迷路に入りましね…ヒロインちゃんのピンチに多分間に合わないんだろうな〜おバカなお魚さん…兄さん…ヨハンからヒロインちゃんを…ジュン…繭との別れ、(´･_･`)しかし、ドンちゃんは、バカ、(-.-;)y-~~~ (2017年6月8日 1時) (
レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 神さま、シウォンさま〜(´･_･`) (2017年6月6日 23時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ヒョクちゃんの思いが、ヨハンに通用するのかな？？不安ですが…(ｰｰ;)ヒロインちゃんが、涙を流さないように、アーメン(´･_･`) (2017年6月6日 19時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - みんははさん» いつもありがとうございます^_^ 最後までよろしくお願いします^_^ (2017年6月6日 12時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - りんさん» あ、そうですよ。よく分かりましたね！やっぱり鋭いです^_^ (2017年6月6日 12時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年6月3日 16時
