1デレ ページ3
Aside
「おーい、津島くん!一緒に心中しないか?」
『生憎ですがお断りさせていただきます。それより、国木田さんが怒ってましたよ。』
「げっ。国木田くんが?あー…又、来るね!」
『来なくて結構です。』
私の名前は津島 A。
ごく普通な武装探偵社の社員だ。ただ、「変な男性」に好かれているってこと以外は。
変と言ったら悪いが、矢張り私の目から見ると、彼は変人にしか見えない。
毎日、心中のお誘いや愛の言葉を囁いたり、花束を渡してくる。
其の男性の名前は「太宰 治」
心中が好きな…世間一般から見ても、変人の彼が、日々私を口説こうとしてくるのだ。
少し前から知り合ったが、その時から口説いてくる。正直言ってうざったい。
「津島くん、之、愛の花束。」
『ありがとうございます。そこら辺に生けといて下さい。』
「もう…津島くんは冷たいねぇ。」
『之が普通の対応です。』
「津島くんは…はっ!」
太宰さんは何かを閃いた様子で、私の耳に口元を寄せた。
「Aは、綺麗だね。」
『えぇ。ありがとうございます。では、仕事をして下さい。』
「んもう…津島くんは釣れないね。…あれ、そろそろ入水の時間だ。」
入水の時間、変人で無ければこんな時間は無い。
「あ、そうだ。津島くんも来るかい?」
『行きません。』
「そうかい。もし、来てもいいなら、何時もの土手で流れようじゃないか!」
『多分、国木田さんか敦くんと行く事になりますね。』
「国木田くんは連れてこないで呉たまえ。じゃあね。」
太宰さんはヒラリと手を振ると、ドアを開けて部屋を出た。
『…囁いた時。少し吃驚したな…。』
胸がほんの少しだけドキドキしている。
吃驚したから…だよね?
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作者名:やのこ | 作成日時:2019年7月21日 13時