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私の足に抱きつき、私を見上げるその子の頭を撫でる。
「私は神様じゃないよ。夏油傑という。この二人は私の友達だ。君は?」
「げとうすぐるさま………」
「傑でいいよ」
「すぐる、すぐる、傑………」
反芻するようにポツリポツリと何度も私の名を呟く。
「それで、名前は言えるかな?」
「名前……、は無いけど[いみご]と呼ばれてた…」
[忌み子]。あの村の者たちはこの子をそう呼んでいたという。
驚いて目を見開いた。この幼い子どもは時分の名前も知らなかった。
ちらりと横を見ると悟と硝子も驚いているようだった。
「あ!じゃあ俺たちがつけてやるよ。なぁ?」
「え?」
悟が思いついたように言うと、その子の顔が明るくなった。
「ほんと?」
「うーん………女の子だし、ジョサンヌ花子とかは?」
「冗談だろ悟」
悟のネーミングセンスに驚きながら、あれこれと案を出していく。
ふと、ある名前を思いついた。
「A……、Aはどうかな」
「Aか。いいんじゃね?なあ硝子」
「良いと思うよ。ね、どう?」
硝子が子どもに尋ねた。彼女は暫く俯き、ぱっと顔を上げた。
言葉を発さなくても分かるくらい彼女は喜んでいた。彼女は大きく何度も頷いた。
「ありがとう!すぐる!」
再びAは私に抱きついた。子どもならではの高い体温に触れる。
何だか心が暖かくなった気がした。
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ととこ(プロフ) - 神代優花さん» 読んでくださりありがとうございます。もし良ければ何話か教えていただけないでしょうか…?お手を煩わせてすみません… (2021年5月5日 15時) (レス) id: a0d3aa46dd (このIDを非表示/違反報告)
神代優花 - 自分と言う自が違う気がするのですが。間違いだったらすみません。 (2021年5月5日 15時) (レス) id: 5b5a130973 (このIDを非表示/違反報告)
星空の砂時計 - とても面白いですね♪ 作者さんのペースで更新を頑張ってくださいね! 私も呪術廻戦にハマり、作品を書いている者なので機会があれば何処かでお会いしましょう! *´▽`* (2021年4月24日 23時) (レス) id: a21ef6301e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ととこ | 作成日時:2021年4月13日 0時