認めて貰えないのが怖いだけ ページ11
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────そういえば、原作でも描写されていた。
“吐瀉物を雑巾で処理したような味”だと。
吐瀉物の味も想像できないが、ただひたすらに不味いことだけは分かる。“夏油傑”に大ダメージを与えた味だ。絶対に美味しくはないだろう。
「でも、食べなきゃいけなかった。不味いし吐くこともあったけれど…。
でも、他の人が襲われて怪我するぐらいだったら、僕が食べた方がずっとマシだ。
…けど。さっき、食べているところを、友達に見られちゃったんだ。
きっとその子も僕がと同じだった。けれども分かち合えなかった。“気持ち悪い”って言われておしまいだったよ。…でも、僕が頑張らないとね」
悲しそうに目を伏せて、自嘲気味に笑い話す夏油さん。
────夏油傑は、優しすぎた。
優しすぎるからこそ、“夏油傑”という存在が成り立つ。少なくとも私はそう思っている。
『…夏油くん。イヤだったら、振り払ってね』
どういう事?と純粋無垢な瞳をこちらに向けられる。その質問には答えず、代わりに体で答えた。
ぽん、と頭に手を置く。目を見開いて固まる彼を構わず、私はできるだけ優しい手つきで撫でた。
『夏油くんは偉いねぇ。ここまで投げ出さなかったのは、本当にすごいことだよ。頑張ったね』
「…僕、偉い?」
『偉い。もんのすごく偉いよ!』
「すごい、?」
『うん!とおってもすごい!どんなに辛くて涙が出ようと、“頑張ろう”って思えるんでしょ?
それは、普通の人にはできないからね。
夏油くんみたいな優しい人だからこそ思える、すごいことだよ。それに立ち向かえる夏油くんは、きっと最強なんだね』
「ッ!」
『私は綺麗事しか言えないけど…、今まで、よく頑張ったね。
…でも、まだ子供なんだから、強がらなくたっていいんじゃない?
今は何もかも自由にできる時期なんだ。それを潰してしまったら嫌でしょ?だから、もっと甘えてもいいんだよ』
そう微笑むと、夏油さんは下を俯き肩を震わせる。その様子を見ながらもうひと撫ですると、私の裾をクイッと引っ張った。
『、夏油くん?どうしたの?』
「っあ…いや、その…」
口ごもる夏油さん。何も言わずその先を待っていたら、彼は耳を真っ赤にさせて「できたら、なん、だけど」と途切れ途切れに言った。
「っ手…つないでも、いい、?」
あざとらしく首を傾げる夏油さんに、ハートを撃ち抜かれて序盤のように崩れ落ちたのは言うまでもない。
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狐(プロフ) - 初コメです!失礼します!夢主も伏黒甚爾もめちゃくちゃ可愛すぎませんか!?吐血じゃないですけどゴフッって空気吐くくらい可愛いです!めちゃくちゃ応援します!更新頑張ってください! (12月30日 3時) (レス) @page48 id: 17039bfc90 (このIDを非表示/違反報告)
れれ(プロフ) - もうまって大好きです面白いと可愛いの大渋滞です…!!続編いつまでもまってます! (12月26日 4時) (レス) @page48 id: 9c9eeae16e (このIDを非表示/違反報告)
望奈 - おもろすぎん。 (12月8日 22時) (レス) @page48 id: 8b146cc8f6 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します!めっちゃ好きです…!!パパ黒との絡みがてぇてぇ過ぎて吐血するかと思いました()更新頑張って下さい。楽しみにしてます! (11月30日 20時) (レス) id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだぁ - 投稿楽しみにしてます!! (11月26日 20時) (レス) @page48 id: f8f579a222 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イケメンになりたい。 | 作成日時:2021年1月13日 22時