追放 ページ2
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わたくしは幼くして最愛の母と父を鬼に殺された。
しかも信頼していた側近に。
彼はわたくしを
「無様だな」。
その言葉に憤り、その後は覚えていない。
気づいた時には朝日が登り、鬼は塵と化していた。
どん底に落とされた時の気持ち、それは一生忘れられない程、脳裏に深く刻まれた。
そしてわたくしは鬼への憎しみだけを胸に、鬼殺隊に入隊した。
わたくしは人付き合いが苦手で、冷たくすることしか出来ず、誰とも仲良くできなかった。
だけれどお館様は「大丈夫だ」と。
「根は優しいことを私は知っているから」
「無理に仲良くすることはない、自由に生きていいんだよ」
そうわたくしの全てを肯定してくれたお館様だけは、貴方だけは。
もう無くしたくないと、命を懸けても守ろうと、そう思えた。
そしてわたくしの血反吐を吐くような努力を認められ「柱」なるものに昇格した。
正直、戸惑った。
わたくしがなっていいのかと、そんな高い位に。
そんな不安を胸に、他の柱と顔合わせをした。
「俺は炎柱の煉獄杏寿郎だ!よろしく頼む!」
そう差し出されたガタイのいいその手を払い除け、明るく笑う彼を睨めつけた。
『触らないでくださる?いくら柱だとしても、婚約者でもない殿方に体を触られたくありませんの』
しん…と辺りが静まる。
しまった。柱に無礼を働くなど、どんな脳をしているんだ、この頭は。
どうしようと口を開こうとすると
どっと笑いが巻き起こった。
「面白い奴が来た」と、まるで祭りのように騒ぐ。
それから、わたくしを気にかけて、会ったら毎回話しかけてくださった。
冷たく突き飛ばしても、無視をしても。
めげずにわたくしに話しかけてくる。
戸惑ったけれど、「人の優しさ」に触れて、とても、とても嬉しかった。
だけどそれは突如として崩れた。
新しい柱が就任したのだ。
しかも白髪青眼の可愛らしい容姿をしている。
更には剣の腕も高いときた。
勿論、彼等の視線は彼女に向くことになる。
見捨てられ
見放され
また自分はどん底に落ちるのかと、焦った。
だから彼等の視線を再びわたくしに戻そうと、彼女に暴言を浴びさせた。
心を折ろうとした。
だけれど
「一年、鬼殺隊から追放だよ」
神は、再びわたくしを見捨てた。
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Nami - 面白かったです!夢主ちゃん今後どうなるのかな?続き気になります。 (8月20日 16時) (レス) @page5 id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
ロア - おもろ (2022年9月13日 17時) (レス) @page5 id: f71c6b27b8 (このIDを非表示/違反報告)
まかろん - 物凄く面白かったです!!!家燃やした犯人が気になる〜!実はツンデレだった悪役令嬢可愛いすぎる!更新頑張ってください!!!応援してます!!! (2020年4月21日 22時) (レス) id: 349227220e (このIDを非表示/違反報告)
律 - とっても面白いです!!これから頑張ってください! (2020年3月29日 15時) (レス) id: bfc3e39400 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりなんぽん - はいどうもです。イケメンになりたい。様の作品全部見ているものでーす。(しつこいね☆)自分は悪役キャラなんですよ。劇をやるときは必ず悪役がやりたい!関係なかった…作品の展開が楽しみです!頑張ってください! (2020年3月23日 15時) (レス) id: 3ac698d03c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イケメンになりたい。 | 作成日時:2020年3月21日 20時