16 振り向かない理由 ページ17
花巻side
他の3人と別れてから美結と2人、並んで歩く。
花「零は別に及川のこと嫌ってるわけじゃないんだろ？」
別に及川の味方をするわけじゃないが、純粋に何故零が及川を相手にしないのか気になる。
美「それはないと思うよ。零、嫌いな人はとことんシカトしてるから。こないだみたいにお昼一緒に食べるなんて、絶対しない」
花「じゃあ、及川は全然タイプじゃないってことか」
ムカつくことに、及川が校内で一番モテる。
それはファンの数からしても紛れも無い事実。
タイプじゃないならわからなくもないが。
美「ん〜…でも、零って、特にこーゆーのがタイプってないと思うよ」
長年の付き合いの美結が言うなら間違いないだろう。
花「じゃあ、何で及川になびかないんだろーな。頭も顔もいいし、性格はともかく、女には優しくて人気者だし」
美「だからじゃない？」
花「は？」
なにがダメなのかさっぱりわからない。
美「女の子みんなに優しいことはいいことだけど…それって誰にでもみんな平等ってことでしょ？」
花「あー…『特別』ってことが重要なわけね」
美「そう、みんなに平等じゃ、恋人の『特別』感がないでしょ？それに…」
確かに。
それは男でも同じだ。
誰でも恋人の『特別』になりたいのは、至極当然。
花「それに？」
美「零がはっきり言ったわけじゃないけど……徹君は、他の女の子と違って自分に振り向かない零が欲しいだけで、好きって気持ちと違うんじゃないかって…」
花「無い物ねだり、的な？」
美「そう。だから、そのうち熱も冷めるだろうって思ってるんじゃないかな〜」
なんか納得。
のんびりしてそうで意外に鋭い美結。
花「でも及川は本気だぞ？」
あの執着っぷりはそんなにやすやすと冷めないだろう。
美「徹君の本気が伝わればいいんだけどねぇ。付き合ってくれたら面白いのに」
花「そう思うなら及川の味方になってあげれば？」
美「ダメ。私は零の一番の味方だもん」
笑顔できっぱり断られた。
あぁ、めっちゃ可愛い
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作者名：朔夜 | 作成日時：2017年3月9日 23時
