BESTの妖物語参之巻 (ページ48)

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みんなのところに戻ると、鏡月さんが山田たちの手元をじっと見ていた。

「何やってるの？」
「なんか、3人のブレスレットが気になるらしい」

みんなが次々とおかえりと言ってくれる。
隣にいた薮ちゃんが、今の出来事を教えてくれた。

「やはり……。みなさんの腕輪と同じ、時止めの影響を受けないようにする術がかけられてます。」
「他の人と違って動けてたのは、このブレスレットの力ってこと？」
「そうなりますね」

鏡月さんの発言に知念が確認を取る。

氷雨の1件で3人が普通に動けてたのは、このブレスレットが原因なんだね。
確かに……よく見ると、俺たちのブレスレットとどこか似てる？

「やま。このブレスレットってやまがくれたよね？」
「……氷雨が中にいた時だけどな」

裕翔の疑問に、山田が小さい声で答えた。
このブレスレットすらも、氷雨の作戦の1つってことなのかよ。

「術を無力化することも可能ですが、どうしますか？」
「……大丈夫です」

裕翔がハッキリと鏡月の提案を断る。
山田と知念も似たような反応だ。

なんで断らないんだよ。
また巻き込まれるかもしれないのに。

「俺たちが見とかないと。BESTが無茶なことしたら止めらんないじゃん」
「自分の身はお札で守れるよ。それに戦う立場じゃないからこそ、できることがあるかもしれないでしょ？」

「だからお願い。俺もやまも知念も、余計なことはしないから」

山田と知念が俺たちに向けて告げる。
そして、裕翔を含めた3人で俺たちを見つめてくる。

……こんな時に弟モードになるなよ。
そんなキラキラした瞳で見られたら、BEST全員何も言えなくなっちゃうんだよ。

「……何かあったらすぐに逃げろ。危険なことには首を突っ込まない。それが条件だ」

やっぱり。
セブンの弟モードに特に弱いうちの最年長は、彼らのお願いを了解してしまった。

「何かあったらすぐにこの術を無力化する……そういうことにしましょう。もう戦うことはできませんが、できることは精一杯サポートしますよ」
「じゃあ、俺の唐傘を直すことはできますか？」
「見ないとわかりませんが……妖魔の世界にも移動できるので、修繕師さんに頼むことはできます」

光くんの唐傘を見てもらう。
時間はかかるけど、直せるみたいで一安心。

覚悟は決まった。
光くんの唐傘も直りそうだし、鈴蘭や氷雨とも戦えるほどの力もついてきてる。

最後の戦いの始まりが、少しずつ近づいている気がした。