9月上旬 ページ29
trsk side
9月初週の金曜日。もう秋を名乗ってもいい筈なのに、外を見ればまだまだカンカン照り。立ち上る陽炎にやる気まで吸われてしまってなかなか記事が進まない。
｢おはようございます。｣
入ってきたのは草薙さん。
須貝さんが真っ先に声をかける。こういう所がナイスガイをナイスガイたらしめるのだろうなァ。
｢おー、瑞稀。同窓会どうだった？｣
｢皆元気そうでしたよ。これ、お土産です。皆さんもどうぞ。｣
草薙さんが持ってきたのはオシャレな紙袋に入ったクッキー缶。なんでも彼女の地元に新しく出来たお菓子屋さんのものらしい。
手が空いた(または僕みたいに暑さに嫌気がさした)皆がクッキーを取りに行くと、草薙さんは何かを企んだ様な笑み(まだまだ引きつってるがあれは多分笑ってる筈だ)を浮かべながら口を開いた。
｢ただし、クイズに正解したらですけどね。｣
なるほど、彼女もだいぶウチの会社に染まってきたらしい。三度の飯よりクイズが大好きなヤツらの目が輝いている。
かくいう僕もその中の1人。
彼女が予め用意していたクイズペーパーを貰い、空欄に記入していく。
順調に解き進めていくがやっぱり上には上がいるもので、伊沢さんやジャスコが正解を貰ってクッキーを取りに行っていた。
僕も頑張らなきゃ。
解き終わってペーパーを渡しにいくと、草薙さんが採点してくれる。リズム良く刻まれるペンの音を聞きながらボーッとしていると、音が止んで今まで下を向いていた彼女が顔を上げた。
｢おめでとうございます。全問正解です。｣
やっぱり正解は多ければ多いほど良いよね!!やったー、と喜びの声をあげながらクッキーを貰う。
花の形をした緑色のクッキー。味は多分ピスタチオかな。缶がオシャレなら中身もオシャレだ。いつもの服装からして予想はついてたけど、やっぱりセンスがいいなぁ。
空になったマグにコーヒーを入れ直して、クッキーを見える位置に飾りながらパソコンに向き直る。
残りの記事もチャッチャとやってしまおう。
貰ったものを取っておきたくなる……��
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作者名：杉山 | 作成日時：2023年1月23日 22時
