* ページ28
こんなのでごめんね、って謝る。
机の上に入ってた袋をのっけて、何も言わない圭人に、不安になってくる。
どうしよ、ダメだったかなぁ……。
「……失敗しちゃった」
「え……?」
「カフェじゃ、外だからいのちゃんにハグしたりキスしたり出来ない……」
「ば、ばか」
何てこと言うんだ!
ばかばか、って言う言葉が止まらない。
圭人は笑ってるだけだけど。
こいつ普段は豆腐メンタルなくせに、なんでこーゆーのだけさらっと男前なの……!!
圭人は唐突に質問してきた。
「仕事、どのくらいで終わるの?」
「え、あ、どうかな、順調なら3時間とか……」
「スタジオ?」
「うん……」
「じゃあ近くのカフェで終わるまで待ってる。
いのちゃん家行ってもいい?」
「え、でも……」
「お願い」
うるうるして頼まれちゃえば、やめてその顔弱いんだから、と言っちゃった。
こんなの、いいよ、って許可するしかない。
「いのちゃんに触るのはお家まで我慢するから、早く帰ってきてね」
「ほんとばかじゃねぇの!」
赤くなっちゃったどうしよう。
きっと撮影中も圭人のことで頭がいっぱいになっちゃうんだ。
ムカつく、年下のくせに!
もうやけ食いするしかない!
そこから、目の前のパンケーキをバクバク食べ尽くした。
カフェから出て、圭人と1度別れる時。
ほんとは、今日また会えるのうれしい、って素直に言った。
せっかく待っててくれるんだもんね。
そしたら圭人がキスしてきたから、殴ってやった。
周りに人がいたら大変なことになるから。
でも、それでも嬉しくて、このあとの仕事はすごく早く終わらせられる気がした。
END.
209人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りりた | 作成日時:2017年2月14日 4時