＊ ページ27
またそーゆーこと言う！！
食べるのに集中したくても、じっと見てくるし何なのよ……。
「……口元についてるよ」
「えっ、ん」
「あ、ほんとだ美味しい」
「〜〜ッ、圭人今日なんか変！」
クリームがついてたみたい。
スッと圭人の指が伸びてきて、拭ってそのまま食べちゃった。
もう、バカじゃねぇの、と思わずこぼれる。
だってこんなの、どこの王子様彼氏なの！
リアルにこんなことする人いる！？
恥ずかしくてたまらないけど、圭人が笑ってて、まあいっか、なんて思っちゃう。
それにしても、こんなのいいのかなぁ。
「……けどなんか、ちょっと贅沢だね」
「え？」
「や、なんかさぁ、こういうの、立場的におれから圭人にって感じなんじゃないのかなって思ってたから……」
「うーん、でも海外では男からがスタンダードだったりするよ。
いのちゃんも男だけど」
そう、位置的に、というか、夜、というか……女性側なのは俺の方だから、当然バレンタインも俺があげるつもりだった。
忙しいからチョコとか買いに行く暇がなくて、ごめんね、って謝ることになっちゃってたんだけど。
なんとかこの数時間だけは作ることができて、圭人に会えて。
なんて贅沢。
尽くしてもらっちゃってる。
俺が返せるものなんてないのかも。
……あ、そうだ。
カバンを探って、ここに来る前にホントにサッと何とか買ったもの。
選んでる時間とかもあんまりなくて、こんなのになっちゃったけど。
一粒取り出して、圭人に口を開けるように言う。
「圭人、あーんして」
「え、何？いのちゃん」
「いいからほら、あーん！」
「あー……ん！？」
口に放り込んだら、すごい表情。
何だこれ、って書いてあるかと思うくらいの疑問でいっぱいの顔をした。
ちょっとしたいたずら成功？
「え、何これ？？」
「ふふ、ラムネ味のボールチョコ、なんか圭人のイメージでね。
ちゃんとしたチョコってわけじゃないけど、それでも圭人にあげたくて」
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作者名：りりた
| 作成日時：2017年2月14日 4時
