真紅の記憶 ページ22
.
落ち着かない様子のお客様が来られた
ソワソワとしながら首元のマフラーで口元を隠している
店の中をチラチラと見ていて何かに興味があるのかな、と思っていたけど、すぐにお客様はこちらへ視線を戻した
私はお客様を奥へご案内した
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
アンタが記憶預かってくれるん…？
……俺の記憶も預かってくれ…
預かって欲しいのは、とある仲間との思い出や
アイツは、なんでもすぐに一人で抱え込む奴だった
出会った時も、身も心もボロボロの状態だというのに、誰にも頼らず一人で生きようとしていた
自分だけ…自分だけが信用できる…
そんな思いを抱えている事さえも悟らせない笑顔は本当に自然だった
それに気がついた…というか最初から知っていたのがうちの総統でな…
…あぁ…一応、俺は一国の書記長やらしてもらってる身やで…
そんでまぁ、うちの総統は突拍子もなくそいつを仲間にした
初めはやっぱ戸惑いの方が大きかった
でも、いつのまにか仲間として受け入れていた俺も俺やと思う
徐々にアイツも、俺らの方に心を許してくれた
元々良い奴やねん
気さくで、優しくて……誰よりも人のことを見とって……
アイツが他の奴に寄り添う分、他の奴らもアイツをほっておかない…
アイツも、昔よりかは抱えるものは少なくなったと俺は勝手に思ってる
寄り添い寄り添われは俺もだった
偶に他の奴と一緒に暴れて俺の仕事を増やす事もあるけど、体調とか…仕事量とか…気を遣って手伝ってくれたアイツに何度助けられたか分からん
自分の仕事もあるはずなのに人の事ばっかり……
アイツは、
俺たちになくてはならない存在になっていた
戦場に立った所為でアイツがあんな状態になるって分かってさえいれば……俺は意地でも止めていた…
自分の不甲斐なさを責める奴…
自分の無力さを責める奴…
自分の弱さを責める奴…
自分の立場を責める奴…
アイツが目を覚まさないまま、仲間は自分を責め続ける
中には自分を殺そうとする奴も居った…
でも…そんな状態になった仲間を見ながらでも…
俺はしゃんとせなあかん……
誰かが…誰かが正気でおらな……強くおらなダメなんや……
でも……アイツの包帯だらけで横たわる姿を見るのも……仲間が自分を責めるのを見るのも……
限界が近いんや……
このままじゃ…俺もどうなるか分からん……
だから…
俺の記憶、預かってくれ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琥珠(プロフ) - もちもちさん» もちもち様、コメントありがとうございます！タイトルは結構悩んだので、そう言っていただけてとても嬉しいです！本編も読み込んでもらえたようで何よりです！！( ´∀｀) (2020年8月5日 12時) (
レス) id: c1b610a55d (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - なんか気になるタイトルだったので試しに読んでいったら途中で泣いてしまいました…この小説にあえてよかったな…って思ってます (2020年8月2日 20時) (レス) id: a0528e05ef (このIDを非表示/違反報告)
琥珠(プロフ) - 藍さん» 雄黄はchiさんです！(^^)b様付けは、私の小説を読んでくださった方への敬意としてつけさせて頂いています！ (2020年7月17日 1時) (レス) id: c1b610a55d (このIDを非表示/違反報告)
藍 - 様がついてるそんなんじゃないのに僕 (2020年7月17日 1時) (レス) id: 8c6028ae84 (このIDを非表示/違反報告)
藍 - え雄黄誰 ずっと雄黄がshoかとおもっとった (2020年7月17日 1時) (レス) id: 8c6028ae84 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琥珠 | 作成日時：2020年5月15日 1時
