水縹の記憶 ページ14
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何やら機嫌の悪そうなお客様が来られた
声をかけると眉を寄せて私の方をジッと見てくる様子に何か気を悪くする事をしてしまったか、と考える
でも…何処か感じた悲しみも気のせいではないかもしれない
私はお客様を奥へご案内した
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…お前が記憶預かってくれるんか……
それなら俺の記憶も預かってくれ
預けたい記憶はある奴との記憶や
俺の中にあるアイツとの記憶を全部預けたいねん
俺はある国で幹部をしている
本題のアイツは俺の同期で、だいぶ長い付き合いや
剣の腕は凄いし、全く隙がない
基本誰とでも仲良いし、周りから慕われとる
同期に軍に入って、
同期に昇進して、
同期に幹部になったはずなのに、
俺にはどうしても、アイツの方が遥か先を歩いているようにしか思えんかった
自分でそう考えているだけなのに、“それだけ”に治らないイライラがずっと頭の中にあった
単純に嫉妬だろうけどな
俺は女が嫌いだから……
俺の母親は最低だった
働かんわ、家事もせんわ、殴ってくるわ、
良い思い出は全然ない
父親は顔を思い出せんくらい前に家を出て行った
自分の息子と妻を他の女の為に捨てたんや
俺が産まれた所為で父親は出て行った
母親はいっつもそう言ってた
俺の所為で不幸になった
俺の所為で自分はおかしくなった
俺の所為で貧乏になった
気付いたら俺は、全ての責任をなすりつける母親を“親”と思わんようになった
“母親”という名の女
俺の大嫌いな存在
そんな環境で育ったからか、大人になっても女嫌いは治らんかった
欲を満たす為に相手する時もあるけど、心境に変わりはなかった
そんな存在、女であるアイツが俺より優れてるのが胸糞悪くて仕方なかった
でもアイツは……他の女とは違った……
欲深くて、男に媚びて、都合が悪くなったら逃げる
俺の女に対するイメージをことごとく崩していった
嫌みを言っても、嫌な顔一つせずに軽口を叩いてくる
嫌われるどころか、普通の仲間として接してくる
喧嘩腰だった俺も、いつのまにかアイツを仲間として受け入れていた
“女”じゃなくて“１人の人間”として……仲間という大切な存在になった…
なのに…！！！
今じゃアイツは一言も話さない…！！
大切な仲間がっ……ずっと……
こんな事なら嫌いだったあの頃に戻りたい……
俺の記憶……預かってくれ……
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琥珠(プロフ) - もちもちさん» もちもち様、コメントありがとうございます！タイトルは結構悩んだので、そう言っていただけてとても嬉しいです！本編も読み込んでもらえたようで何よりです！！( ´∀｀) (2020年8月5日 12時) (
レス) id: c1b610a55d (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - なんか気になるタイトルだったので試しに読んでいったら途中で泣いてしまいました…この小説にあえてよかったな…って思ってます (2020年8月2日 20時) (レス) id: a0528e05ef (このIDを非表示/違反報告)
琥珠(プロフ) - 藍さん» 雄黄はchiさんです！(^^)b様付けは、私の小説を読んでくださった方への敬意としてつけさせて頂いています！ (2020年7月17日 1時) (レス) id: c1b610a55d (このIDを非表示/違反報告)
藍 - 様がついてるそんなんじゃないのに僕 (2020年7月17日 1時) (レス) id: 8c6028ae84 (このIDを非表示/違反報告)
藍 - え雄黄誰 ずっと雄黄がshoかとおもっとった (2020年7月17日 1時) (レス) id: 8c6028ae84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珠 | 作成日時：2020年5月15日 1時
