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Prologue ページ1




これはと或る平和とは程遠い場所でのこと。
鋭い陽射しは冷たいコンクリートの棟に遮られ、行き場をなくしている。

その闇の中で蠢く二つの影。それこそがこの物語の主人公である。


「嗚呼、良い自 殺 法ないかなあ」
「こんなに暑いんだし、日 光 自 殺とかどうだろう」
「良いねぇ。早速試そう」


そう云って裏路地を迷いなく突き進んで行く。
黒いスーツに黒い外套を纏い、身体中には包帯が(ひし)めいている。

二人はヨコハマの夜を牛耳るポートマフィアに所属する幹部である。
双子で容姿・性格共にそっくりだ。
性格は決して良いとは云えないが、容姿は抜群に良い。

兄の名は、太宰 (おさむ)
弟の名は、太宰 (しゅう)

見分ける方法は、大きく分けて四つだ。

一つ、ネクタイの色。
兄は黒、弟は紺。

二つ、目の包帯。
兄は右、弟は左。

三つ、一人称。
兄は私、弟は僕。

そして、四つ目。
これは後程と致しましょう。

これだけ見分ける方法があるとはいえ、二人は簡単に入れ替わることが出来る。
四つ目を除けば、殆ど“外から付け足した”特徴だからである。

その四つ目も大体どうにでもなるのだが。


却説、二人の紹介はさておき、どうやら双子はある場所に到着したらしい。

そこは裏社会にしては明るい場所。
草ひとつ生えていない荒野。
高い建物群から切り離され、眩い光が降り注ぐそこは、辺りに比べて大分暑い。

季節は夏。
なのに冬のような格好の二人は可笑しいのだが、双子は平然としていた。


「うん。ここなら出来そうだね」
「さて、死ねるだろうか」


二人は黒と白の境界線を越えた。
二つの黒い塊は、すぐに注目を集め、強い熱気を浴びる。
塊が揺らいだ。
陽炎のようにゆらゆらと、二つの視界が揺らめいていた。


「少し早すぎやしないかい?」
「何か可笑しいねえ」


一旦引き返そうと、二人は振り向いた。
そして違和感を感じる。


「見慣れない気がしないかい」
「というか、知らない場所だけども」


先程通った裏路地は消えていた。
代わりにそこにあったのは、全く知らない路地裏。


「私達、異能力効かないのだよねぇ」
「でも、異能じゃなさそうだけど」


会話を交わしながらも、彼らの足は前に進んでいた。
迷うことなく、白と黒の線を越えた。


「ふぅん。まあ、面白くなりそうじゃないか」
「危険な予感がするけどねえ」


うふふふふ、と二人の狂気が不気味に木霊した。

Conclusion→



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- また、更新してもらえてうれしいです!頑張ってください!! (2020年1月4日 1時) (レス) id: 18b5c09236 (このIDを非表示/違反報告)
鶴来 アリス(プロフ) - 私も良いと思って見切り発車で小説を書くと後々猛烈に書き直したくなることがよく有ります笑 こちらでも、応援しております!頑張ってください!!待ってますー!! (2020年1月3日 2時) (レス) id: aa3614dbb5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白冬ーShiroー | 作成日時:2020年1月1日 16時

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