『DREAM AUDITION』(５) ページ6
・
｢少し時間、よろしいでしょうか？｣
その声が聞こえて、ふと目線を上にあげる。
すると、申し訳なさそうに屈んで見てくる少女。
……待って、この子見覚えが。
｢……あっ！説明してた役員さん！｣
｢はい、あんずと言います｣
｢あ、あんずさん！この度はお世話になりました！｣
慌てて立ち上がって、あんずさんに頭を下げる。
横でクエスチョンマークを浮かべてる花純に
オーディション関係者と伝えた。
花純もびっくりして、丁寧に一礼。
意外と礼儀あるんだな……と、失礼なことを思う。
｢いえいえ、こちらこそ、ご応募ありがとうございます｣
あんずさんは書類のようなものを抱えて、微笑する。
なんでこの方が来るんだろう。
その思考を読み取ったかのように、あんずさんは告げた。
｢今回のオーディションの合否の通達で｣
｢なるほど……！わざわざありがとうございます！｣
これでもお仕事ですから、と言うあんずさん。
私も、そうだよね、と頷いて見せた。
それよりも合否が気になるのか、花純が痺れを切らしていう。
｢あの、合否の通達……って言うのは｣
｢はい、審査の結果、緑川さんは不合格となります｣
｢えっ、あ……はい｣
サクッと言われてしまったからか、花純が曖昧な表情をしてる。
私も、悲しいとかやっぱり……とかいう感情すら出てこなかった。
｢……ですが、私は少し、もったいない、と感じています｣
あんずさんの意外な言葉に、目を見開く。
『もったいない』って……？
｢緑川さんは、モデルとして注目を集めてる真っ最中
ダンスも歌も、頑張れば誰だって出来る程の実力
名前を呼ぶまで、誰も気がついてないほど、普通の方です｣
思っていた通りのことを言われ、分かっていたけど辛い。
｢しかし、今回のオーディションで、誰よりも
『仕事』と言うものに、責任を持っていた｣
あんずさんは、真剣な表情で、私に伝える。
｢ただオーディションに合格するためではなく
『アイドル』として『お客さんを楽しませる』
その事が、最も出来ていたと思うんです｣
それにダンスや歌が比例しなかった。
だから、モデル業がこなせるんだ。
そのセリフには、否定はしなかった。
むしろ、それが私の強みだと思っているから。
｢前置きは長くなりましたが、その強みを活かし
『別の形』で、夢ノ咲学院に携わって見ませんか？｣
｢……『別の形』、とはなんですか？｣
恐る恐る聞いてみる。
あんずさんが口にした言葉に、意表を突いた。
｢『プロデュース』です｣
『DREAM AUDITION』〜天祥院英智〜→←『DREAM AUDITION』(４)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 481人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉緒(プロフ) - すいかさん» 返信遅くなりすいません！コメントありがとうございます！これからも面白いお話が出来るよう、頑張ります！ (2018年11月7日 22時) (
レス) id: 013457e9b7 (このIDを非表示/違反報告)
すいか - 面白いです!! (2018年10月24日 6時) (レス) id: 1cbfe77de4 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 愛姫さん» コメントありがとうございます！これから楽しんでいただけるよう、頑張りますね！ (2018年1月25日 17時) (レス) id: 9db52594cb (このIDを非表示/違反報告)
愛姫 - いつも楽しみに見てます！！これからも頑張ってください！！ (2018年1月25日 13時) (レス) id: 43b6895a40 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
