コクハク。(５) ページ36
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泉さんに言われた、意外なこと。
『あんたは充分、強いやつだよ』
それがどれだけ嬉しかったのか、あなたには到底分からない。
世界中の誰に言われても、こんなに嬉しいことはないのだから。
泉さんは次に、首を手を当てて言う。
｢あの時言ったことは……撤回する｣
｢あの時……？｣
｢最初に言ったでしょ、"恋だと勘違いしてる"って｣
私は納得したように、小さく相槌を打つ。
泉さんは、忘れてたならいいけどさ、なんて。
｢……忘れてなんか、いませんよ｣
私の言葉にバツの悪そうな泉さん。
そんな彼に首を振って、理由を答える。
忘れたりなんかしないけど、それは辛かったからじゃなくて。
いや、もちろんあれはあれで辛かったけど、別の意味がある。
｢泉さんが言うこと全て、ちゃんと覚えてますよ｣
お母さんとの時間を過ごしたように。
あなたの言葉、行動、仕草……何もかも。
｢ならいいけど……｣
私の答えに安心したのか、表情が少し柔らかくなる泉さん。
しかしすぐに、まるで逆手に取るように眉毛を潜める。
｢ちょっとまって。だったら今まで忘れたとか言ってるの、何｣
｢へっ?!あ、あれは……その……あれですよ｣
｢あれってなにかなぁ？あんた俺の何を覚えてるわけぇ？｣
｢うわぁ……ごごごごめんなさい……！｣
完全に墓穴を掘るってやつだ。
泉さんと会話のきっかけ作りにわざとしてる……なんて言ったらどうなることか。
｢……ねぇ、まさかわざととか言わないよね｣
｢…………｣
｢図星とかチョ〜うざいんだけどぉ……?!｣
｢あぎゃぁぁぁ！ごめんなさいぃぃぃ！｣
泉さんが私の頭を掴んできて、"いつも通り"が始まる。
……そうだ、これがいい。今はまだこれでいい。
泉さんが心から私を求めてくれるまで、私は待っていよう。
"好きかもしれない"じゃなくて、本当に"好き"だと断定してくれるまで。
それまで私は、私なりに頑張っていこう。
泉さんのいってくれた、"強い自分"を信じて。
｢……私、泉さんに好きになって貰えるように、頑張りますね｣
会話が途切れたところで、ポツリと呟いた。
｢……俺も、頑張るよ｣
｢え？｣
｢……なんでもない。それより、いい加減お風呂入ってきたら？あんた最悪な顔してるよ｣
｢あ！わ、忘れてた……！すいません、じゃあお先失礼します！｣
ついに指摘されてしまったことに後悔して、慌ててお風呂に駆け込んだ。
｢……泉さん、大好きです｣
小さな小さな声で、それを呟いて。
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莉緒(プロフ) - すいかさん» 返信遅くなりすいません！コメントありがとうございます！これからも面白いお話が出来るよう、頑張ります！ (2018年11月7日 22時) (
レス) id: 013457e9b7 (このIDを非表示/違反報告)
すいか - 面白いです!! (2018年10月24日 6時) (レス) id: 1cbfe77de4 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 愛姫さん» コメントありがとうございます！これから楽しんでいただけるよう、頑張りますね！ (2018年1月25日 17時) (レス) id: 9db52594cb (このIDを非表示/違反報告)
愛姫 - いつも楽しみに見てます！！これからも頑張ってください！！ (2018年1月25日 13時) (レス) id: 43b6895a40 (このIDを非表示/違反報告)
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