見据える瞳(５) ページ24
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周辺を歩き回って、どれくらい経ったのか。
既に数十軒ほど回っているが、移動等考えたらもう時間が無い。
顔合わせの時間を考慮したら……夜遅くになる。
そんな時間から取れる場所なんて、当たり前のようにない。
実質、たった今断られた場所が、最後のチャンスだったのだ。
｢どうだった？｣
入り口で待っていてくれた泉さんに、目を伏せてから頭を振った。
泉さんは肩を落として、視線を下げる。
それでも私は、何とか表情を崩さないように取り繕う。
｢……ひとまず、顔合わせに行きます｣
それに間に合わなかったら、元も子もないですし。
落胆を隠せなかった声色で、泉さんに言う。
キャリーケースを持って踵を返した。
同時に目尻が熱くなってきて、目の前が薄くなる。
……やっぱり、どう足掻いても無駄だった。
"ダメでもともと"。そう思っていつも頑張っていたけど。
どうしようもなかった時は、いつだって泣いてしまうのだ。
『諦めるしかない現実』を、受け入れたくなくて。
歩幅が狭くなっていき、ついに立ち止まって涙を拭う。
限界なんて決めたくない。常に先を見ていたいのに。
……完全に落ち込んでしまった、その瞬間だった。
｢……泉、さん？｣
撮影所とは別の方向に行く彼に、首を傾げながら声をかける。
気づいたのか予想してたのか、私を一瞥しただけで何も言わない。
そのまま、私が泊まる予定だったホテルに入っていく。
理解できないまま、泉さんの後に続いて入った。
受付で何やら手続きらしきことをして、その場に赴くとキャリーケースを指す。
訳の分からないまま、指示通りにそれを渡す。
｢……荷物、預けたんですか？｣
同時に引換券を渡されて、余計に訳分からなくなった私は、思わず呟いた。
券と泉さんを交互に見ていると、手元に見えたのはカードキー。
｢とりあえず、荷物は俺のとこで預かった｣
｢えっ｣
｢さっきも言ったけど、あんな荷物持って行くのは失礼だからねぇ｣
｢と、言いますと……｣
ここに荷物を預けること。ホテルのカードキーを所持できること。
それを頭に入れた状態で、ひとつの結論が導き出される。
｢……泉さんも同じお仕事で？｣
｢正解。じゃなかったらなんでこんなとこまで来るってわけ？｣
｢な、なるほど……って！だったら最初からそう言ってくれれば！｣
｢聞かれなかったから言わなかった。ってことで、あんたの落ち度だよねぇ｣
｢う、うぬぬ……｣
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莉緒(プロフ) - すいかさん» 返信遅くなりすいません！コメントありがとうございます！これからも面白いお話が出来るよう、頑張ります！ (2018年11月7日 22時) (
レス) id: 013457e9b7 (このIDを非表示/違反報告)
すいか - 面白いです!! (2018年10月24日 6時) (レス) id: 1cbfe77de4 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 愛姫さん» コメントありがとうございます！これから楽しんでいただけるよう、頑張りますね！ (2018年1月25日 17時) (レス) id: 9db52594cb (このIDを非表示/違反報告)
愛姫 - いつも楽しみに見てます！！これからも頑張ってください！！ (2018年1月25日 13時) (レス) id: 43b6895a40 (このIDを非表示/違反報告)
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