第203話 ページ37
「あ"ー痛い。痛いよ工藤」
正座をした状態で丸まって床をバンバンと叩く。もうかれこれ一時間くらいずっと正座で説教を聞かされていたのだ。痺れて足は子鹿のように震えていやがる。
「自業自得だ」
「まぁね、そーなんだけどさぁー」
明日には東京に戻るので、すっかり片付けてしまった部屋にはキャリーケースだけがその青いボディを光らせて存在感を放っている。
「ほんなら工藤のありがたぁい話も終わったところやし、来栖の姉ちゃんが見つけてきた事でも聞かしてもらおうや」
まだどこか怒っている工藤に第二次説教が始まる前にと服部くんが提案をくれる。
「！そうだな、なんかわかったのか」
そういえばそうだと目をちょっと開いて私に顔を向けて首をかしげる工藤。
私は小さく頷いて口を開く。
「うーん、なんというかね、わかったよ。大体。けど、これ言っていい？もうほぼ答えになっちゃうんだけど…」
言葉を濁らせて告げると、工藤は服部くんと目を見合わせて、眉をひそめてから頷く。
「確かに推理は好きだけど、事件にいつも首を突っ込むのは推理のためじゃない。話してくれ」
きっぱりと言われてわざわざ聞いた自分が少し恥ずかしかった。
「ん、じゃあまず春日美湖と橋本慎二には確かに子供がいたみたい。けど、春日美湖は産んでないらしい。って、橋本慎二は聞いてるんだって。どうやら堕したって後から聞かされたんだって。そして橋本慎二が探して欲しいと言っていた女の子は実在しない。誰も行方不明にはなっていないって、以上」
「実在……しない？」
「でも写真はたしかにあったはずやで？」
訝しむ二人に頷く。
「けど、あれは嘘で行方不明になった子なんていないんだって。その先は泥酔してて…」
吃る私に、服部くんはスマホの写真アプリから一枚の写真を引っ張って液晶画面に映す。
「その子供っちゅーのはこれやな？」
「そうそう」
「この子どこかで…」
「…うーん、見たことあるような無いような…」
記憶のどこかにありそうなのを頑張ってみるものの、努力ではどうにもならないので諦めて写真から目をそらす。
不意に工藤は俯いて眉をひそめて首を傾げた。
「その写真の方はさておき橋本慎二と春日美湖には関係があったってことだよな？」
確認するように問われたので、肯定を示すために頷く。
それに何の意味があるのかと服部くんも視線の斜め上を向いて黙り込み、同じタイミングで二人は目を合わせて頷き合う。
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黒木(プロフ) - 毬莉さん» コメントありがとうございます、一気読み！？嬉しいです、今後とも本作をよろしくお願いします！ (2020年9月16日 19時) (
レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - りーさん» ありがとうございます、嬉しいです。更新致しました、読んでいただけたら幸いです、 (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - リオさん» こちらこそコメントありがとうございます！正解です！！キャラが関わるほどではなかったのでクロスオーバーのタグ等はないのですが、誰か気がつかないかな〜なんて思って書いたんです。ありがとうございます！ (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - もってり子さん» ありがとうございます。嬉しいです、更新致しました、楽しんでいただけたら幸いです！ (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - 液体さん» コメントありがとうございます！更新致しました、読んでいただけたら幸いです (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒木 | 作成日時：2019年8月23日 17時
