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「家には連絡したか?」
風呂上がり。濡れた金髪をタオルで混ぜながら降谷はそう尋ねた。
「うん、お母さんに。友達の家に泊まるって」
誰の家に泊まるのと今更のように心配をするあの震えた声を思い出す。
「前話してた真紀ちゃんの」
そう答えた私はなかなかに意地悪だ。私の同級生に真紀なんて子は居ないし、友達にだって居ない。けれど、お母さんはそれがどんな子なのか聞く事が出来ない。だってそれを私に聞いたら私の話に今まで興味がなかったってことを認めることになるから。
ちゃんと聞いてくれてたら、そんな子聞いたことないわあなた本当は何処にいるの?とか、覚えてない、思い出すから何時頃の話だったか言ってとか、聞くはずなのにね。
「ならいい」
降谷の頷きにハッと回想から引き戻される。
彼は冷蔵庫から麦茶を出して私にもいるか尋ねた。
「いらないありがとう」
「そうか、…永江の布団出すから手伝ってくれないか」
「え、申し訳ない、ありがとう喜んで」
コップを流しに置いて廊下に消えていく降谷の後に慌ててついていく。
リビングに敷いた布団からは降谷の家の匂いがした。
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Lailah(プロフ) - めちゃくちゃ良かったです。テーマの作品2つにも納得が行きました。その後の話も見てみたかったですがこれはこれで良かったです。良き作品を見せてくれてありがとうございます。 (2021年7月5日 12時) (レス) id: 59f1e2127c (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - とても素敵な作品で、泣いてしまいました(笑)続きを作ってくださるのなら、楽しみにしています! (2021年5月6日 19時) (レス) id: 2fea210edb (このIDを非表示/違反報告)
澪華 - ↓ごめんなさい誤字です。正しくは「楽しく読ませていただきました。」です。 (2020年11月23日 5時) (レス) id: e31bd2e13b (このIDを非表示/違反報告)
澪華 - とても素敵な作品で、楽しく読ませてました。これから二人はどうなるのか、続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年11月23日 5時) (レス) id: e31bd2e13b (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - とても素敵なお話でした。読むのが止まらずあっという間に読み終わってしまいました。 続きが読めるのを楽しみにしてます!! (2020年11月5日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪路 | 作成日時:2020年10月18日 0時