猫の生態 ページ35
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「…ここ、キヨが予約したの?」
「そうだよ。いいとこでしょ」
都心部から電車で2時間ちょっと。
私の休日に連れて行きたい場所がある、観光はそこそこに旅館にでも泊まって気分転換しよう、とキヨに提案され、なされるがままに1泊分の支度をして電車に揺られた。
そして、都会の人間がちょっと休みたい時に行けるような観光地の少し山奥の旅館を案内された、のはいいのだが。
赤を基調とした柱や、立派な瓦の屋根。
ジブリの映画にでも出てきそうな立派な外観。
数千円のビジネスホテルくらいに泊まる気でいたが、ここは一体ウン万円するのだろうか。
「…儲かってんの?キヨって」
「ぼちぼちね。さ、入ろ」
自分の分の荷物はそこそこに、私の分の荷物も持っているキヨはなんでもないようにそう言った。
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「う、わ」
ドアを開けた瞬間、畳の良い匂いが鼻腔をくすぐる。
窓の外を見ると、露天風呂が付いていてこんこんとお湯が出ているのが見えた。
「すごい、こんなとこ泊まるのいつぶりだろ」
私が部屋を見渡して、洗面所だとか収納だとかを色々物色し終わると、キヨは荷物を部屋の隅に置いたっきりじっと立って私を見ていることに気づいた。
「なに、ジロジロ見て」
「連れてこられて良かった。はしゃいでるAさん、可愛いから。見れて良かった」
キヨは、そう言ってへにゃりと笑った。
「…あ、りがと」
「どういたしまして」
「なんかさ、カップルみたいだね?」
なんだか気恥ずかしくなって、そう茶化す。
「みたい、って言うか…カップルでいいんじゃない」
いいんじゃない、って。
キヨ、この間からどうしたの。それじゃまるで私のことを______いやいや。
「キヨは黒猫、でしょ?」
少しだけ、念押しするように問う。
「そうだった、ね。ここの所随分人間らしい生活が出来るようになったから忘れてたよ」
キヨは一瞬目を見開いた後笑っていたけれど、彼の感情は今ひとつ読み取れなかった。
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なみの - おわああああああ尊すぎる!!最高!天才! (10月10日 20時) (レス) @page47 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
美織(プロフ) - ぴーなつここなつさん» お返事遅くなってしまい申し訳ございません。お楽しみいただけたようで何よりです。読んでいただきありがとうございました! (2022年1月6日 18時) (レス) id: 991747ea37 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつここなつ - 読む事が止められないです…! (2021年10月25日 15時) (レス) @page47 id: 5cb3497c96 (このIDを非表示/違反報告)
美織(プロフ) - きゅうりさん» 勿体ないお言葉ありがとうございます…!楽しんでいただけたようでなによりです! (2021年3月8日 23時) (レス) id: 991747ea37 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - とっても面白かったです、、、文才ありすぎです、、、、 (2021年3月8日 23時) (レス) id: 6118eb0aad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美織 | 作成日時:2021年2月6日 21時