【ky】黒猫、拾いました。【実況者】

. ページ31

はぁっ、と乾いた口から絶え絶えに空気が漏れた。


イベント当日。フラグを立ててしまったのは私かもしれない。


見事に新人社員研修がいきなり入ってしまい、ゆとりを持って会場に着ける時間はとうに過ぎていた。





Aごめん。仕事入ったから遅れるかも

キヨわかった。がんばってね


信号に引っかかり、立ち止まる。

手元のメッセージを見返して、急いで呼吸を整えた。



キヨは文句のひとつも言わなくて、それが尚更私を急がせた。


.

.




やっとの思いで会場に着き、中に入る。


職場からそのまま着替える間もなく向かったので、ブラウスに膝丈のスカート、パンプスの私は随分とこの会場で浮いていた。







事前に聞いていたブースの辺りまで着くと、
「やられたーーー！！！」と大声が聞こえた。








その方向を見ると、ステージ上でゲームをしているキヨの姿があった。






彼の出番は、あと15分ちょっとといったところだろうか。もう終盤に差し掛かっているところだ。




家でのんびりしているキヨしか見ていない私は、そのギャップに面食らってしまって、肝心の本人に気づいて貰えるかどうかなんて忘れて彼を見入ってしまっていた。








すると__________ステージの上の彼と目が合った、気がした。

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す