. ページ23
.
フジのお陰で、資料は無事間に合い何とかなった。
あとは上手く彼に伝えられるかどうか_____なんだけど。
お昼休みまでこんなに長く感じたことがあっただろうか。
社食のなるべく隅の方、人に話を聞かれなさそうな位置に2人で座った。
「それでね、結論から言うと」
「彼氏、でしょ？」
「彼氏じゃなくて…その、飼い猫、みたいな」
「はぁ？」
とうとう病みすぎておかしくなったか、とでも言いたげな目でこちらを見るフジ。
「どうしても言えない事情があるのなら、無理に言わなくても」
「いや、フジに嘘はつきたくない。順を追って説明するね。」
私は、キヨとの出会いから今の生活に至るまでを彼に話した。
相槌は打ってくれるものの、ついぞ彼が納得した表情になることは無かった。
「俺はその関係には賛成できないな。
要するに、そのキヨとやらはヒモ…ってことでしょ」
「まぁ、そう言われればそうだけど」
痛い所を突かれる。体良くペット、という位置付けで呼んでいることは、自分でも薄々気づいているから。
「俺は、決めつけるようで悪いけどそんな関係とも世界とも無縁だったAが割り切った関係を上手くやっていけるとは思えない。
万が一、そいつのことを好きにでもなったらどうするのさ。
ミイラ取りがミイラになって、片方が気持ち目当て、もう片方が金目当ての共依存関係なんて地獄しかないぜ」
「ならないよ。寂しいから、苦しいからお金を払ってそれを満たしてくれる存在を見つけただけ。
それ以上でも以下でもない。利害関係の一致なだけ」
「後々苦しくなるのは、Aの方だと思うんだけどな。俺は」
フジは困ったように、赤子を諭すように笑った。
「まぁ、また困ったことがあったら相談してよ。
快く賛成は出来ないけど、Aの表情が明るくなったのは確かだから。きっと良い影響を貰っているんだなって思うよ」
「うん…聞いてくれて、ありがとう」
「こちらこそ、話してくれてありがとう」
お昼休みの時間なんて、あっという間に終わった。
そりゃ、受け入れられないよね。こんな関係。
それでも、真っ向から否定しにかからないフジは大分優しい人間なのだ、と改めて思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 439人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なみの - おわああああああ尊すぎる！！最高！天才！ (10月10日 20時) (
レス) @page47 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
美織(プロフ) - ぴーなつここなつさん» お返事遅くなってしまい申し訳ございません。お楽しみいただけたようで何よりです。読んでいただきありがとうございました！ (2022年1月6日 18時) (レス) id: 991747ea37 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつここなつ - 読む事が止められないです…！ (2021年10月25日 15時) (レス) @page47 id: 5cb3497c96 (このIDを非表示/違反報告)
美織(プロフ) - きゅうりさん» 勿体ないお言葉ありがとうございます…！楽しんでいただけたようでなによりです！ (2021年3月8日 23時) (レス) id: 991747ea37 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - とっても面白かったです、、、文才ありすぎです、、、、 (2021年3月8日 23時) (レス) id: 6118eb0aad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：美織 | 作成日時：2021年2月6日 21時
