. ページ16
「これなら軽いから女の人でも持てるしょ?
で、立つ場所は基本ホームベースの真横。フォームはこんな感じで、脇締めて」
キヨは手早くバットを選んだかと思うと、文字通り手取り足取り私にフォームを教えてくれた。
全く意識していないだけなのか慣れているからなのか、バットを持つ私の手を優しく包み込みながら。
「で、あとはボール見て振るだけ。」
キヨはあっけらかんとそう言うと、ネットの外に出た。
1球目、案の定空振り。
「ボールちゃんと見て!Aさん」
2球目も、やや空振り。
「惜しい惜しい!いけるよ!当たる!」
さっきから声がデカい。人は疎らだけれどなんとなく視線を感じる。
そうこうしてる間に、10球目にさしかかろうとしていた。
「…私、やっぱセンスないな」
「大丈夫!次こそは当たるって!」
ダメ元で思い切り振った11球目。
キィン、とさっきのキヨみたいな音が鳴った。
「Aさん!当たった!やったね!」
キヨは機械を止めて、私のところにハイタッチを求めに来た。
パチン、と互いの手を合わせる。
「どうだった?」
キヨは答えなんて解っている、と言った様子で尋ねた。
「…案外、爽快だった」
「でしょ」
彼が余りにも嬉しそうに笑うから、私もつられて笑った。
その後もなんやかんや交代で打ち続け、帰りに2人で牛丼屋に行って満腹にして帰った。
次の日は案の定筋肉痛だったけれど、嫌な痛みではなかった。
439人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なみの - おわああああああ尊すぎる!!最高!天才! (10月10日 20時) (レス) @page47 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
美織(プロフ) - ぴーなつここなつさん» お返事遅くなってしまい申し訳ございません。お楽しみいただけたようで何よりです。読んでいただきありがとうございました! (2022年1月6日 18時) (レス) id: 991747ea37 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつここなつ - 読む事が止められないです…! (2021年10月25日 15時) (レス) @page47 id: 5cb3497c96 (このIDを非表示/違反報告)
美織(プロフ) - きゅうりさん» 勿体ないお言葉ありがとうございます…!楽しんでいただけたようでなによりです! (2021年3月8日 23時) (レス) id: 991747ea37 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - とっても面白かったです、、、文才ありすぎです、、、、 (2021年3月8日 23時) (レス) id: 6118eb0aad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美織 | 作成日時:2021年2月6日 21時