肆拾伍夜 ページ45
[あの子達は恐ろしいわ、無理矢理に結びつけた、無理矢理変えてしまった]
瞬間に、湊さんの言葉が浮かんだ。
あの人は、私の違和感の正体を知っている。
何かを知っていて、更に何かに対する忠告までしていた。
あの人は、何を何処まで知っているの…?
「A、オスマン、どうしたんそんなとこで」
「…コネシマ」
「何や、体調でも悪いんか?部屋運んだるで?」
『…いえ、大丈夫です、コネシマさんは、瓦礫の掃除は…』
「……まあ、ええねん、そんなことは、あんま気張らんと、休むんも必要やで、な?オスマンもそう思うやろ?」
「…めう」
「ほら、早よ部屋行き、腹減ったら食堂来ぃや、飯は、まあ…誰かがやるやろ」
コネシマさんに背を押され、数歩先にはいつの間にか鬱さんがいた。
送ってくで、と微笑まれて、振り返ることはせずに、静かに頷いた。
肩を抱かれて、部屋について、ゆっくりとベッドに腰掛けると、すぐに手は離れてしまう。
咄嗟に、手を掴んでしまった。
「…どうしたん、A」
『……わから、ないんです、でも、怖くて…』
「俺らのこと、怖いん?」
『…わからないんです、わからなくて、怖いんです…』
留めきれなくなった涙が溢れて、拭う気力もなかった。
ベッドに腰掛けている私よりも、低い目線になろうと跪いた鬱さんは、私を見上げて、頰を撫でてくれた。
消え入りそうな声で、怖い、ごめんなさい、と呟けば大丈夫、と笑ってくれた。
「混乱してもうてるんよ、大丈夫、誰も離れるなんて有り得へんから、だから、ちゃんと見つめてな」
『…私、やっぱり、何かを知らないんですか…?』
「俺からは何も言えへんけど、それでAが苦しむんは嫌なだけ、でも、怖いん言うなら仕方ないもん、やから、全部知っても、また戻ってきてな」
『…?』
「おやすみ、A」
微かに、糸のようなものが張る記憶が見えて、それでも、夢の中へと落ちていく意識では、それが何かを考えることはできなかった。
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「オスマン気づいたんやろ、あの臭い」
「…Aが変やったから、ちょっと焦ってしもうた、謝らな…」
「Aが違和感に気づいとった、あの方が言ってた蜘蛛のせいなん?」
「多分な、グルッペンに報告しとくか」
「おいシッマ!!何しとんねんお前、便所行くんちゃうかったんか!!」
「やべ、俺戻るわ!」
「あいよ」
「めう〜」
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そういろね(プロフ) - 桃さん» コメントありがとうございます。更新頻度遅くなったりまだまだスランプ気味だったりでご迷惑をお掛けしますが、励ましの言葉をいただけることで頑張れます!これからもよろしくお願いします! (2020年3月5日 21時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
桃 - いつ見てもすごくいいです。しかも、話の内容が自分好みなのですごく見ててすごく面白いです( *´艸`)これからも、頑張って下さい。 (2020年3月1日 19時) (レス) id: 4db1c97773 (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - キングダムペンギンさん» コメントありがとうございます。応援の言葉が励みになります。テストが終われば更新頻度を上げれると思いますので、気長にお待ちください! (2020年2月23日 16時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
キングダムペンギン(プロフ) - 今まで見てきた作品の中でダントツで大好きです…( i _ i )!続き楽しみにしてます!更新頑張って下さい(*'ω'*) (2020年2月23日 5時) (レス) id: a4d7a38948 (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - k-roさん» コメントありがとうございます。一妻多夫ネタめちゃくちゃ好きなんです。沢山の人に愛読していただいて本当に嬉しい限りです、頑張ります! (2020年2月11日 22時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そういろね | 作成日時:2020年2月4日 23時