【d!】幸せな彼女の呪いの言葉。

肆拾夜 ページ40

『朝ですよー、起きてくださーい』


各部屋の扉の前で、皆さんを起こしに行く。
ひとらんさんも手伝ってくれて、ひとらんさんが起こしに行った方向では、元気な話し声が聞こえてきた。
こちらでも、目を擦りながら、または欠伸をしながら部屋から出てくる人達がいた。


「おはようございます…」

『おはようございます、ショッピさん、相変わらず寝癖が…』

「こればっかりはどうにも…そんなに今日も酷いですか…？」

『あちこち跳ねてますね、可愛らしくて私は好きですよ、ショッピさんのこんな姿は、あまり見れないので』

「…そうですか、なら良かったです」


ショッピさんは、いつも朝会うと、猫のように頰を擦り寄せてきて、その後頰に口付けてから、また欠伸をしながら食堂へ向かっていく。
あのふわふわな髪質は、撫で心地がいい。


「A、おはよ…」

『あ、おはようございます、チーノさん』

「ん…っは、ねむ、…やばい…」

『わっ、起きてください…腰折れちゃいますよ』

「Aに折られるなら本望…」

『困ります』


高い腰を曲げて私の肩で二度寝をしようとするチーノさんにはいつも手を焼く。
目覚めが良い時は軽く会話して触れ合ったらすぐに食堂に向かうのだが、目覚めの悪い日は駄々をこねるので、それまで相手をするが、大方、その間に違う人に見つかって騒ぎが起こる。


「あ、おいこらチーノ！お前また朝からAにべたべたと！」

『おはようございます、ゾムさん、鬱さん』

「おはよーさん、朝から大先生に会っただけでも最悪なんに、お前早く離れろや」

「ゾムさん…？まあええわ、おはよ、A、今日も可愛いなぁ…」

『んっ…』

「殺されたいんか？大先生」

「いででででで！折れる！折れますって！」


鬱さんは朝から大胆だ。
口付けはいつものことだが、誰かが制止しないとすぐにあれやこれやと誘ってくる。
嫌ではないが、まだ慣れないので、少し対応に困ってしまう。
ゾムさんはよく嫉妬するし、それ故にシャオロンさんやコネシマさんと喧嘩している。


『ご飯冷めちゃいますよ…？』

「ほら、大先生もチーノも行くで、ごめんな、A、今からグルッペン起こしに行くんやろ？」

『はい、あと、今日はトントンさんもです』

「昨日結構暴れたからな、怒られる前に飯食って訓練所行くか、大先生も、昨日来んかったんやから今日は来るよな？」

「うげ…」


三人を見送って、小走りで廊下を辿った。

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