拾漆夜 ページ17
「…ごめんな、A」
『ん、…』
「意地悪したかってん、ほら、Aずっと忙しかったやん、だから、ずっと会いたかったんよ」
ぽろぽろ落ちる涙を拭われて、優しく口付けられ、今度はちゃんと名前を呼んでくれる。
紅い目も、深緑色に戻っていて、穏やかな笑みが浮かんでいる。
甘い匂いも薄くなって、私の息も徐々に収まって、思考も正常に戻った。
だからこその、羞恥心。
『ど、どいて、ください…』
「えー？何で？名前呼んで欲しいんやろ？いっぱい呼んだるよ、A」
『や、いい、いいです、大丈夫ですからっ』
「なあ、俺の名前も呼んで、A、オスマンって、ほら、A」
『っ、お、オスマンさんのすけべっ…！』
「可愛い、もっと言って、A」
ずいっと顔が迫って、熱が募る。
そろそろ沸騰しそうだ。
そんなことを思っていれば、ふと思い出した。
しかし、耳を澄ましても大惨事になっているような音は聞こえない。
お湯を沸かしていた方を見れば、火は止まっている。
不思議に思っていれば、その先の壁から覗く、顔を赤くした、赤い目の人。
「あれ、トントンやん、何しとんの、そんなとこで」
「こっちの台詞やわ、阿保…こんなとこで何してんねん…」
『ご、ごめんなさい…』
「ぇ、あ、謝らんとってや…オスマンに言ったんやで…」
あの日、オスマンさんを迎えに来た人だ。
多分、催眠をかけられると出るであろうあの甘い匂い。
その匂いはしないが、トントンさんの目は赤かった。
見つめていれば、恥ずかしいのか目を逸らされてしまった。
その反応に、こちらまで見つめすぎたと恥ずかしくなって俯いてしまった。
「どうなさったんですか、トントン様、A様は…」
エーミールさんと待っていたアングイスさんが、心配そうな声でトントンさんに尋ねていた。
そして、オスマンさんの顔を見ると、みるみるうちに顔を顰めた。
そして、前みたいに口喧嘩が始まった。
「何でここにいらっしゃるんですか、それにこの匂い…催眠は人体への影響が大きいから、多様しないようにとグルッペン様から忠告されていたはずですよ」
「多様してへんもん、今回でまだ二回やし」
「回数の問題ではなく、一度の量の問題です、シャオロン様の件でA様が寝込まれたのをお忘れですか」
宥め方が分からず戸惑って、何となくトントンさんを見れば、目が合った。
何て声をかければ良いかわからず笑えば、トントンさんは更に赤く染まった。
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そういろね(プロフ) - 桃さん» コメントありがとうございます。更新頻度遅くなったりまだまだスランプ気味だったりでご迷惑をお掛けしますが、励ましの言葉をいただけることで頑張れます！これからもよろしくお願いします！ (2020年3月5日 21時) (
レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
桃 - いつ見てもすごくいいです。しかも、話の内容が自分好みなのですごく見ててすごく面白いです( *´艸｀)これからも、頑張って下さい。 (2020年3月1日 19時) (レス) id: 4db1c97773 (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - キングダムペンギンさん» コメントありがとうございます。応援の言葉が励みになります。テストが終われば更新頻度を上げれると思いますので、気長にお待ちください！ (2020年2月23日 16時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
キングダムペンギン(プロフ) - 今まで見てきた作品の中でダントツで大好きです…（ ｉ _ ｉ ）！続き楽しみにしてます！更新頑張って下さい(*'ω'*) (2020年2月23日 5時) (レス) id: a4d7a38948 (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - k-roさん» コメントありがとうございます。一妻多夫ネタめちゃくちゃ好きなんです。沢山の人に愛読していただいて本当に嬉しい限りです、頑張ります！ (2020年2月11日 22時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そういろね | 作成日時：2020年2月4日 23時
