最終日 ページ49
炎天下の中。
大の大人二人が友人との約束に遅れそうで走っている。
側から見たらまあまあ暑苦しい光景ではないだろうか。
特に、この目の前の男は無駄に身体が大きい。
そのせいか、動き１つ１つが目立つ。
「…っは、すまんっ、遅れた」
「おお、汗だくやんけ」
「お前ら仲良く二人で来たんか」
「通り道が一緒やからな、トントンと待ち合わせしてたのを忘れて、というか寝坊した」
「あっはっはっは！珍しいなぁ！グルッペンが寝坊かぁ！」
公共の場だというのに大声で笑うコネシマの足を踏めば、当たりが悪かったのか痛みに涙目でしゃがんだ。
それにしても暑い。
まるで炎の中にいるかのようだ。
エミさんなんか、走ってきたトントンと俺よりも汗をかいている。
オスマンに心配されてる。
「何すんねんグルッペン…っ、いてぇえぇ…」
「良かったじゃないですか、さっきまで足の裏がかゆいとか言っとったでしょ」
「ショッピ君…お前痛みで紛らわしても意味ないんやぞ…」
コネシマはショッピ君にいつも通り煽られ、それを見ながらシャオロンも参戦して、二人のきゃんきゃんと煩い威嚇の試合が始まる。
それを見て面倒臭そうに止めに入る大先生。
とゾム。
「せやぞ、空腹は飯食うこと以外で解決せんのやから、ってことで、飯行こか」
「何でそうなんねん…」
現在1時半過ぎ。
昼飯後の集合のはずなのに、何故か飯の話が出るゾム。
これにはついていけないのかツッコミを入れるロボロ。
何とも愉快な友人達の会話を見ていれば、この暑さも何となく心地よくさえ感じてしまう。
『ごめん、待った？』
「全然、待ってない」
『そっか、ごめんね、待たせて』
「待ってないってば」
…酷く澄んだ声だった。
反射的に振り向き、その声の主を探した。
何故だか、すぐにわかった。
一人だけ、目を惹く、女性。
隣の白い服に身を包んだ男と仲睦まじく会話をしている。
不意に目があった。
その瞬間、口が勝手に動いた。
「月が、綺麗ですね」
すれ違いざまの、小さな呟きだった。
何を言っているのかと口を塞ぐが、時すでに遅し。
女性は驚いた顔をしながらも、足を止めて、微笑みながら言った。
『…残念、青くなかったみたいですね』
白い男も、友人達もキョトン、とした顔でこちらを見つめている。
『また、死んで会いに来て』
男の手を引いて去る女性の背中に向けて言った。
「死にたい日々に、花束を」
『…何度でも』
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ぱずる(プロフ) - 感動してボロボロ泣きましたwなんと言えばいいのか分かりませんが、とても素敵なお話でした。面白かったです!! (2021年4月30日 1時) (
レス) id: 6fda5d1ca9 (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - みみみさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい申し訳ありません！書き終えてから少し走り気味だったかもと反省していた部分があったので、好きという言葉をいただけて本当に嬉しいです！他の作品もよろしければ見てやってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - わたあめさん» コメントありがとうございます。返事が遅くなってしまい申し訳ありません！走りが気になってしまった部分もあり少し心残りのある作品だったので、そう言っていただけると嬉しいです！他の作品もよろしければ見てやってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - やっと見つけました！ 本当に好きです！ (2020年2月16日 17時) (レス) id: a3e96579f7 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 初コメ失礼します…？感想っていうか…この話本当に好きです。他のどんな話よりも。本当に。作者さんに尊敬の花束を。 わたあめ(語彙力溶けた) (2019年7月31日 11時) (レス) id: 058dc021e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そういろね | 作成日時：2019年4月9日 19時
