Ｎｏ．８ ページ9
そのような殺伐とした友情も存在するとジャパンのコミックにあった気もするが、これはそういう類のものではないだろう。だって目が本気だ。
急いで両手を上げてアラスターに近付かないことを伝えようと口を開く。
『もう触らないから落ち着けって………はぁ、今日はもう帰るが次に来た時はこの部屋に来ればいいんだな？』
「……ええ」
『分かった。それじゃあまたな』
そう言って指をパチンと鳴らすと目の前に俺の部屋に繋がるドアが現れる。ガチャと扉を開けて帰ろうとする前に、後ろにいるアラスターの方へ振り向いた。
「何ですか。用がないならさっさと帰ったらどうです」
『……言われなくても直ぐに帰るよ』
よかったいつものアラスターだ。
内心ほっとしながら前を向き、俺の部屋へと繋がる扉を閉めた。
後ろでガチャとドアの閉まる音が聞こえると、目の前には机の周りに分厚い本や取れかけている付箋、もはや何を書いてあるのか分からないホワイトボードなど他人に見せられないほど散らかってる部屋が見える。いやまあ俺の部屋なんだけど。
『さすがに片付けしないとな』
如何せん研究を続けるためには部屋の掃除なんて自然と後回しになってしまうものだ。
散らかったものを足で軽く退かしながら歩き、ベッドに座り込んで深くため息をついた。
『はぁ……疲れた』
それにしても長年部屋に引き篭ってたとはいえコミュニケーションって難しい。あの時のアラスターの反応は予想の斜め上を行く結果となったけど、今までで1番多く会話できた気がする。
でもあの時見せたアラスターの表情は、なんかこうむず痒い気分になる。初めて人間を見た時と似たような感覚を覚えて、もう一度見てみたいと思ってしまった。
『なんか可愛かったな』
思わず零れた本音は誰にも聞かれることなく部屋に響いた。
扉が閉まり光となって消えるのを見届けながら、部屋に残された鹿の悪魔はベッドに視線を向けていた。
ふとあの時の忌々しい出来事が頭の中に浮かんできて、思わず眉間に皺を寄せた。
「〜〜Fxxk！！」
熱い。あの時掴まれたところが、耳元で囁かれたところが、今も私の身体を蝕むようにじんわりと熱を増している。
少しずつ身体を侵食されていく感覚に吐き気を催すはずなのに、寧ろあの熱を求めてしまう自分がいることに頭を掻き毟りたい気分に陥った。
「……気色の悪い」
その言葉の本当の意味は当の本人しか知り得ない事だった。
続く
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ミノ(プロフ) - ねこではないですさん» コメントありがとうございます😭次にアラスターがどんなことをしでかすか楽しみにしてもらえると嬉しいです^^ (3月27日 22時) (
レス) id: 786b507bdd (このIDを非表示/違反報告)
ミノ(プロフ) - ミカン酢さん» コメントありがとうございます！これからも主人公くんを温かい目で見守ってもらえると嬉しいです^^ (3月27日 22時) (レス) id: 786b507bdd (このIDを非表示/違反報告)
ミノ(プロフ) - 寧王さん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです😭更新できるよう頑張ります！ (3月27日 22時) (レス) id: 786b507bdd (このIDを非表示/違反報告)
ねこではないです - よし、やるんだ。アラスター。 (3月23日 17時) (レス) @page6 id: 028c313a8c (このIDを非表示/違反報告)
ミカン酢(プロフ) - 主人公くん……ナイス((( (3月23日 10時) (レス) @page6 id: 2477d4d58e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミノ | 作成日時：2024年3月21日 14時
