【後日談】彼の望み ページ33
数日後、営業を終えたモストロ・ラウンジに二人は居た。
机に並ぶスイーツは新作のデザート用に考案された試作品の数々だった。
「どうですか」
アズールの差し出したケーキを受け取って彼は一口食べた。
顔を綻ばせ、見るからに美味しそうにしている。
「とてもおいしいです!」
「そうですか。ではこれは?」
「すごくおいしいです!」
「これは?」
「心からおいしいです!」
「そうですか……」
彼は結局おいしいしか言わなかったが、本心からそう言っているのでアズールは物申すことはできなかった。
「貴方が無類の甘い物好きであることは分かりました。それで、どれが1番好きでしたか」
アズールもあらかじめ適当なサイズ切っておいたケーキやらを端からつつきながら彼に問う。
そうですね、と首を傾げる彼の仕草に既視感を覚えながらも、その姿を傍目にまた一口今度は白のクリームに包まれたシンプルなケーキを食べた。
「僕、」
不意に彼が身を乗り出し、手を伸ばした。
驚いて何だと言いかけたアズールを遮るように口の端へ指が触れる。
そしてそのまま指についたクリームを舐めてしまった。
「好きです」
ショートケーキ、と彼はあざとく笑った。
アズールが初めて見る彼の悪戯な面だった。
「なんて態とらしい……」
アズールは片手で目元を覆い、そう口にしてテーブルに沈んだ。
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音玖(プロフ) - 面影草さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けるだけで大変嬉しく思います。楽しんでいただけたなら何よりです。 (2020年10月16日 22時) (レス) id: 47499ae404 (このIDを非表示/違反報告)
面影草(プロフ) - コメント失礼します。 とても好きです。言葉で表現できないのがもどかしいです。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年10月14日 0時) (レス) id: ad0305c35a (このIDを非表示/違反報告)
音玖(プロフ) - 星猫さん» ポケモンは知ってますが、最近のはやってないのであまり分からないですね… (2020年9月15日 21時) (レス) id: 47499ae404 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - たくっちとポケモンは知ってます? (2020年9月14日 20時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:音玖 | 作成日時:2020年9月11日 21時