僕らのはんぶん。 (ページ36)

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ぎゅっと。(橙) ページ36

あなたside

ガチャッ。

玄関の音で目が覚める。
隣を見ると、照史くんがいない。

「そっか、今日早いんやっけ…」

お見送りしたいから、
起こして欲しいってお願いしとるんやけど、
「起こすの悪いから」って、
いつも静かに仕事に行ってしまう。

照史くんなりの気遣いだと
分かっていても、寂しい。

自分で起きればいい話なんやけど…(笑)
なんせ朝は弱くて(笑)

朝ごはんくらい準備してあげたいな。
明日こそは早起きしよう。

もう一度ベッドに寝転ぶ。
まだ少し照史くんの温もりが残ってる。

照史くんはアイドルで、
私は普通のOL。

時々、その壁が大きく感じて、
少し悲しくなる。

アイドルだから、
彼女がいることはバレないように
外で遊ぶことはほとんどない。

一緒に家を出ることも、
一緒に買い物に行くことも少ない。

でも、照史くんは
私が不安にならないように、
言葉で行動で、安心させてくれる。

それだけでもすごく嬉しいんだ。

「ただいま～」

夜、照史くんが帰ってくると、
わんこ2匹も連れて
玄関まで迎えに行く。

「おかえり！
今日もお疲れ様～」

そのまま照史くんからぎゅーっと
ハグされるのがいつもの流れ。

「はぁ～、3人が俺の癒しやでぇ。
ごめん、予定より遅なってしもた…」

「大丈夫やで、
ご飯温めてるな～
先にお風呂入る？」

「先、入ろかな
いつもありがと～」

「ゆっくりしといで」

話しながら廊下を歩くけど、
歩きながらも後ろから抱きしめられてる。

２匹はその後をトコトコついてくる。
可愛い。

この時間ももちろんだけど、

下がり眉で困ったように笑う
照史くんの笑顔が大好きなんだ。

「照史くんは柴犬やんな」

「どーゆーことぉ？(笑)」

ご飯を食べて、
一緒に布団に入る。

「今日も1日頑張ったね」

「明日も頑張るから充電させて～」

「しょうがないなぁ(笑)」

なんていってるけど、
本当は照史くんに
抱きしめられるのめっちゃ好き。

疲れが溜まってたのか、
すぐに寝息が聞こえてきた。

照史くんは寝顔を見られることを嫌うけど、
無防備な寝顔は可愛くて。

メンバーの皆にもあんまり見せへんっていうくらいやから、これは彼女だけの特権かな。