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「私はこいつみたいに瞳孔開いてないし、前髪V字じゃないし味覚も正常だし!それに不器用じゃないし優しくないしイケメンでもないし…」
「Aさん、遠回しに褒めてまさァ」
「とにかく!似てません!似てないから喧嘩するんです!」
そうだ、似てる訳ない。
「(似てないよね…?)」
*
屯所についてから暫くは宴会でお祭り騒ぎだった。
「(良かった、何も変わってなくて)」
こうやって馬鹿みたいに騒いで、巷ではチンピラ警察と呼ばれる位でちょうどいい。
そんなこんなで数時間、周りには酔いつぶれた隊士や総悟に全裸で眠る近藤さんしか居なかった。
「さてと…」
余った缶ビールをいくつか手に取り地面に転がる隊士を起こさない様、慎重に部屋を抜ける。
「たしか…ここら辺か」
たどり着いた部屋には、やはり小さな灯りが灯っていた。
「入っていい?」
「…あァ」
ガラガラ、と障子を空ければそこにはいつもと様子の変わらない土方。昔から大勢で飲むのが苦手な彼は最初こそ参加するものの、いつの間にかふらっといなくなってしまうことが多かった。
「こんな日まで仕事?」
「総悟の分だ」
「そんなの、自分でやらせりゃ良いじゃない」
「俺が言ってやる様な奴じゃねェよ」
「…でももういいでしょ」
そう言いながら土方が向かう机に手に持った缶ビールを1つ置いた。
「こんなのしか無かったけど…
私だってあんたと酒くらい飲みたいの」
私がそう言うと土方は筆をとめた。
「…わーったよ」
部屋の壁にもたれ掛かるように座り、缶ビールを開けた。洒落っ気なんて何も無いけどなんだかんだこういうのが1番落ち着く。
「なんか、まだ江戸にいるって感じがしないわ」
「そう言う割には落ち着いてんじゃねーか」
「そりゃ…」
”あんたと居るから”なんて素直に言えれば良かった。
自分の事好きなんて思った事は無いけれど、こういう時は心底自分の性格が嫌になる。
「…みんなが居るから」
「そうか…。」
それからは暫く私の一方的な仕事の愚痴ばかりだった。それでも土方は嫌な顔ひとつせず、時々笑顔を見せたりして話を聞いているのだった。
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阿呆代表の神(プロフ) - なんやねんこの凄い作品は。有料でも良いくらい素晴らしい作品。 (2021年3月9日 21時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです( ; ; )更新頑張ってくださいーー! (2021年2月1日 1時) (レス) id: e52e19fe2f (このIDを非表示/違反報告)
れんか - めっちゃ面白い(笑)更新頑張ってください! (2021年1月29日 11時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちーずなん | 作成日時:2021年1月28日 23時