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「飯田…!」
「クソ、雑魚は黙ってろよ…!」
刀を振りかぶった時には、飯田はもう既に刀を振り下ろす寸前だった。
もう立ち上がって刀を振りかぶるだけで体力を全部使ってしまった。避ける力なんて残ってるわけない。
「(もうダメだ、死ぬ…)」
すぐ後ろで土方が私を呼んでいるのだけが聞いて、ゆっくり目を閉じた。
*
「……っ!飯田!」
静けさが漂う見慣れた部屋。屯所、私の部屋だ。
段々しっかり意識が戻ってきて、胸元や頭の傷がズキズキと痛み出す。
「いっ…て…
…っそうだ、土方…土方は」
咄嗟に起き上がり、傷を抑えながら部屋を出た。
道中隊士が心配そうな目でこちらを見ていたが、その中に土方の姿は無い。
「はあ、はあ、…っ!」
走った勢いのまま障子を開けた。
だがそこに土方の姿はない。
「(居な…い…?)」
と、その時後ろから誰か之声が降ってきた。
「A、お前…」
土方だった。
「ひ……土方!飯田は…上様は…?
あの後、一体どうなって…」
「1回落ち着け。
はあ…つーかお前、服」
「服…?」
土方が私から目線を逸らしながらそう言って、自分の服をよく見てみれば乱れていて胸元全開であった。
下着のおかげでもろボロンは防げたがまあなんと恥ずかしいこと。隊士が道中心配そうに見ていたのは病み上がりだからと言うより下着丸出しだったからか。
赤くなる顔を隠しながらサッと服を整えた。
「…部屋入れ。冷えるだろ」
*
用意された暖かいお茶と、ブランケットを膝に乗せた私の隣で書類を片付けながら土方が話を始めた。
「身体は癒えたのか」
「一応…すごく寝た気がするから」
「3日寝てたぞ」
「えっ」
「病院に連れていこうと思ったんだがな…
清河ってのが逃げたそうだ。お前も知ってるだろ」
清河と言えば、最初に私を拘束した浪士が最上階にいると言っていた男だ。
そして恐らく、私を刺したあのガキ___
「山崎が潜入捜査しててな
ちょうどお前と同じ遊郭の店に居たんだ。
奴はお前を狙ってるらしい」
爆破テロするくらいの男だ、病院に居ればいつ殺されるか分からない。だから入院はせず屯所に居たということだろう。
「それより、飯田と…上様は」
「あいつはお前がぶっ倒れた後、隊士の応援が来て取り押さえた。
それとあの爺ならどこかしらの病院で匿ってるとよ、俺らも何処かは知らされてねェ」
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阿呆代表の神(プロフ) - なんやねんこの凄い作品は。有料でも良いくらい素晴らしい作品。 (2021年3月9日 21時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです( ; ; )更新頑張ってくださいーー! (2021年2月1日 1時) (レス) id: e52e19fe2f (このIDを非表示/違反報告)
れんか - めっちゃ面白い(笑)更新頑張ってください! (2021年1月29日 11時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちーずなん | 作成日時:2021年1月28日 23時