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Aside
「……いや、…え?」
自分の唇に指で触れながらもう五分くらい経っているがさっきの出来事がまるで理解できない。
「(…何…何あいつ…)」
厳密には理解しているが土方がそんな事するとは思ってもいなかったのだ。だからああやって遊んでいた訳であって。
と言うより、まず1番大事なのは
「ふ、ファーストキス…」
さっきのキスがもう27歳である私のファーストキスである事だ。初めてだからかまだ唇にキスした時の感覚は残ったまま。
それにキスした瞬間、煙草の香りに重ねて落ち着く様な香りがしたのもまだ鼻から離れない様な感覚だ。まだ土方が隣にいるかのような気がしてしまう。
「(…土方は誰にでもあんな事出来るのかな)」
好意が無い相手にも、ああやって咄嗟にキス出来てしまうのだろうか。そりゃあれだけ顔が良くて地位もあって、言い寄ってくる女だってきっと少なくない。
女の扱いには誰よりも慣れてるんだろう。
赤くなった顔を抑えながらベッドに伏せると、思い出す気も無いのにまたさっきの光景が脳裏に浮かぶ。
もう私は”ただの女”という認識なのか、
それなら土方にとって出会った時から今までの時間は”ただの女”との時間に過ぎなかったのか
そんな事をいつまでも頭の中で考えていた。
___誰よりも女として見られたいのは私なのに。
*
___数日後
「ただいま〜」
何週間ぶりかの屯所だ。帰ると総悟や近藤さんが迎えてくれた。
「もう怪我は大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ近藤さん。」
「にしても、あんなガキに刺されちまうなんて腕が落ちた様で」
「無理矢理休暇取ったせいで仕事も溜まってるし、また今日からちゃんと稽古するよ。もうあんな痛い目見たくないし」
病院からの荷物を片付けながらそんな話をしていた。
「そういや、土方は?」
「居ますけど、呼んできやすかィ?」
「あ、いや…別に良いの」
あの日から土方には1度もあっていない。どんな顔をして会えと言うのか…。
「一応、帰ってきたって報告だけしといた方がいいんじゃないか?」
「…そう、だね。分かった」
「局長ー!!少しいいですか!」
その後近藤さんは隊士に呼ばれてその場を去ったが、総悟だけはずっとその場にいた。
「何かあったんですねィ」
「本当勘の鋭いガキ。嫌われるよ?」
「時すでに遅しでさァ。んで、何があったんです」
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阿呆代表の神(プロフ) - なんやねんこの凄い作品は。有料でも良いくらい素晴らしい作品。 (2021年3月9日 21時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです( ; ; )更新頑張ってくださいーー! (2021年2月1日 1時) (レス) id: e52e19fe2f (このIDを非表示/違反報告)
れんか - めっちゃ面白い(笑)更新頑張ってください! (2021年1月29日 11時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちーずなん | 作成日時:2021年1月28日 23時