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Aside
「さて…と」
土方にイラついた勢いでそのまま屯所を出てきてしまったが、全くノープランである。
しかも江戸に何があるかなんてさっぱり、屯所にも帰れるかどうか…
そんな時、質素な看板が目に入った。
「(甘味処…寄ってみようかな)」
『いらっしゃいませー』
「これ、2つ下さい」
『かしこまりました』
店の中の椅子に座り1口飲んだ暖かいお茶が体に染みる。
「(これが…休日…)」
遅れてやってきたみたらし団子を1口食べれば涙が出そうになった。一日中上様の隣に立つことも、パシられることも無い。
こんな幸せなんて罪深いぞ、休日…
そうやって思わず口が緩みそうになるほど幸せをかみ締めている時だった。
「真選組…?」
「…どうも」
後ろから覗き込んできた銀髪の男。
「見ない顔だな。新人か?」
呑気な顔でそう言った男は腰に木刀を差している。
こんなご時世に腰に木刀を差して歩くなんてまるで田舎のチンピラにしか見えない。
____いや、待てよ。この白髪頭は…
「…白夜叉」
「は?」
「”伝説の攘夷志士”。貴方白夜叉でしょ」
ご存知の通り私は頭がいい。つまり記憶力だって人には劣らない。
こう見えても将軍家の護衛人だ、攘夷志士の名前や顔くらい覚えていなければ務まらない。
やけに体格が良いのも腰に木刀を差しているのも白夜叉と言うなら合点がいく。
「い、いや俺は…」
直ぐに手錠を出して白夜叉にかけた。
「逮捕。警察に自分から話しかけてくるなんて歳取ってボケたの?」
「違ェって!いや、違くはねェ!…っとにかく外せコレ!」
「車呼ぶから大人しくしてなさい、お店に迷惑」
「俺が迷惑してんだよ!いいから話を聞___」
「もしもし、今攘夷志士捕まえたから車持ってきて」
銀髪男の話を遮るように電話をかけたのは癪に障るが土方だ。というか友達居ないから土方の番号しか知らない。
「それは大事な休日にご苦労なこったな
悪ィが車は全部出払ってる。歩いて帰ってこい」
「歩いて?…さっきの仕返しのつもりかしら。
こんなか弱い女の子に容疑者連れさせるなんて」
「もう30手前だろうが」
「…もういい!こいつ逃がすから!」
「に、逃がッ、?おいちょっと待___」
何度目かもう分からないそんなやり取りに指にイライラを全て押し込んで通話終了ボタンを押した。
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阿呆代表の神(プロフ) - なんやねんこの凄い作品は。有料でも良いくらい素晴らしい作品。 (2021年3月9日 21時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです( ; ; )更新頑張ってくださいーー! (2021年2月1日 1時) (レス) id: e52e19fe2f (このIDを非表示/違反報告)
れんか - めっちゃ面白い(笑)更新頑張ってください! (2021年1月29日 11時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちーずなん | 作成日時:2021年1月28日 23時