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04 なんなりと、どうぞ ページ6





「Aチームは、リュウヘイにお願いしようかなと思ってます」


参加者全員の自己紹介を終えて、約2日間のアーティシズム審査が始まった。
オレが属することになったAチームのリーダーは、齢14歳にしてスーパーゴールデンエイジこと黒田くん。自己紹介の時点で異才を放ってたといっても過言ではないほどの歌のうまさだった。すげーよ最近の子って。マジで。

日高さんのご指名に「はい」と返事をして会釈する彼を密かに一瞥する。同じ参加者で立場は一緒といえど、オレみたいな年上が複数人いるチームはやりづらいことだろう。グループでやるからには、せめてリーダーの彼が少しでも引っ張っていきやすい雰囲気にしたいものだな、とどこか他人行儀にAは思った。


呼ばれた黒田くんのもとへメンバーが集まる。一番年齢が若いルイくん、そして間に佐藤くん馬場くん、一番上が中西くん。一同がよろしくお願いします、と挨拶をする中で、そういやルイくんはパフォーマンスで手拍子を煽ってた度胸ある子だったな、とか佐藤くんはダンス上手い人だよな、とか。馬場くん中西くんもすげー歌うまかったなぁとか思ってたら、あっという間に課題曲の振り入れの時間になっていた。
グループのメンバーたちが群がりつつもバラバラな感じで練習部屋に向かっていく。ちょうど近くにいた黒田くんの肩をとんとんと軽く叩くと、大袈裟なくらい肩が跳ねて小さな頭がこっちを向いた。


「一緒のチームよろしく。頑張ろうなー」
「…よろしく、お願いします」

「おー」


どっちかっていうと切れ長なのに大きく見開かれた目は、何度か瞬きをしてぎこちなく挨拶が返される。あれ、オレ変なこと言ってないよな?と思いつつも、そのぎこちない返事は年下感があって妙に可愛らしく思えたのも事実だった。しかも多分人見知りだコレ。身長と長い手脚の割に控えめな普段の動きがオレの何かをくすぐってくる。
リーダーのプレッシャーってやばそうだけど、せっかく一緒のグループだし緊張とか解せたらと思って笑って見せる。そしてすばやく黒田くんの後ろに回り、両肩に手を置いて背中を押した。


「よしじゃあ一緒にいくぞー」
「え?ちょ…っ!」


戸惑ったような声が前から聞こえてくるがそんなのは無視だ。別にとって食ったりするつもりもないので、厄介な年上にでも絡まれたと思ってくれればいい。我らがリーダーの肩の力が少しでも抜けたらと思いながら、オレたちは一緒にスタジオへと足を踏み入れた。


05 バイオレッタにごきげんよう→←03 ようこそ、新人類



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作者名:ねむる | 作成日時:2023年11月7日 2時

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