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16瓶目 図書館 ページ25

「·····また君か」

カウンター越しに見る
何度目かの呆れた様なうんざりした様な顔。
ピリピリと感情がイラつき始めたが
ここはぐっと堪えることにする。

煙草を吹かしながら夜の街をふらつき、
結局はなんの考えもないまま戻ってきてしまった。
この街に来てからほぼ毎日通っている場所_______
通称「図書館」、
情報屋と呼ばれる奴の事務所だ。
最初にこいつに会ったのは2週間ほど前で、
何度条件を変えても依頼を断られ続けている。

「いいか?君の為を思って教えないんだ。
これは幾ら金を積まれても言いたくない」

腰掛けているロッキングチェアをギコギコ前後に揺らしながら
情報屋は早口にそう言った。
奴の銀の短髪……やけに艶がかっていて腹が立つ。

「煩い、自分の事なんてどうでもいい。
いいから早く教えてくれないか」

抑えきれない苛立ちを滲ませた声色が静かに響く。
情報屋はちらりと横目でこちらを見やったあと
大きな溜息をひとつ吐いた。

「話のわからない子だね」

くい、と黒縁メガネを上げ奴がこちらを見つめる。
品定めする様な視線にこちらも応じた。

「聞いたら間違いなく君も危ない目に遭うだろう。
それでもいいのかい?」

じっとこちらを捉える視線から目をそらさずに
瞳に力を込めて頷いた。
情報屋は目を細め様子を伺っていたが、
やがてふっと笑って両手をひらひら振る。

「わかった、僕の負けだ。
仕方ないから彼の事を教えてあげよう」

君の事は気に入ったから特別だよ、と
悪戯っぽくウインクするあたり
こいつは自分とは真逆のタイプだ。

オーバーサイズのカーディガンを翻し
カウンターのこちら側にくると
満面の笑みを浮かべた。

「そうだね、うん。お代はこれでどうだい?」

情報屋の白い手に握られていたのは__________

17瓶目 情報屋ノア→←15瓶目 煙草



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ワタクシ(プロフ) - レイさん» いつもお世話になっております……!そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです!これからもよろしくお願いいたします! (2020年5月11日 22時) (レス) id: cfda2d1e9e (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 本当に綺麗な文章で感激しています!この作品大好きです!これからも応援しています!! (2020年4月20日 13時) (レス) id: a4e5c10c36 (このIDを非表示/違反報告)
ワタクシ(プロフ) - 関西人さん» 長いこと留守にしていましたが、貴方様のコメントで励まされました.......!素敵な言葉をありがとうございます。もう一度書きたいと思えました。これからも応援してくださる方のために書き続けますので、何卒よろしくお願い致します! (2019年10月12日 22時) (レス) id: d168fc46ca (このIDを非表示/違反報告)
関西人(プロフ) - 凄く綺麗な小説ですね!大好きです。もっと早くに知れば良かった... (2019年9月8日 16時) (レス) id: 35e35c5ca7 (このIDを非表示/違反報告)
ワタクシ(プロフ) - つばさ、別アカ2さん» 返信遅れて申し訳ありません、お褒めの言葉ありがとうございます!諸事情で「きみの瓶詰め」の方は停止中ですが、こちらをお楽しみ頂ければ嬉しいです。 (2019年2月24日 21時) (レス) id: 91d5b5e9ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ワタクシ x他1人 | 作成日時:2018年12月19日 20時

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