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セブルスに連れられるようにして、私はダイアゴン横丁に向かった。
「ここに居ろ……不機嫌極まりないですな。
そんな見るからに可愛げのない不貞腐れた表情に、怒りすら覚える。」
そう吐き捨てる様にして、セブルスは私を置いてどこかに行ってしまった。
ああ、この後私は死ぬ。
戻って来た彼は、私を連れて誰も寄り付かない様な、暗い場所に連れて行くんだ。
「まだ、諦めるのは早いかもしれないわ、A。」
『梨花……？』
「アルバス・ダンブルドアの言葉を思い出してごらんなさい。」
はっとして私は梨花の声に耳を傾けた。
「彼はセブルス・スネイプに命じたのよ、私達を守る様に。
私も自暴自棄になって忘れかけていたけれど、今思い出したわ。
私達にはまだやれる事があるはずよ。
死ぬ運命だと分かって居ても、タダで死んでは駄目だわ……」
そうだ、その通りだ。
前の世界で私が彼を傷付けてまで知り得た情報を持って居るのに、それを使わずして死ぬなんて、あの世界のセブルスに申し訳ない。
それに、諦めモードになってしまっては、見えるはずのものが見えなくなってしまう。
それに、諦めは逃げる事よりも劣る事。
「私も愚かだったわ。
私は今以上に長い時を百年以上の歳月を繰り返していた筈なのに、たった数回で音を上げるなんて、馬鹿らしい。
私達は、立ち向かわなければいけないのよ、世界と言う名の闇に！」
私は顔を上げた。
周りを行き交う通行人を視界に入れた。
「セブルス・スネイプを探しましょう。
この世界の勝利は、私達が本物の彼を探せる事だわ。」
『うん！』
とは言っても、迂闊にここを離れても良いものだろうか。
それよりも、何故セブルスは私を置いてどっか行ってしまったの？
前の世界もそうだった。
何故彼は……
考えろ、彼の表情や言動と中身は違うんだ。
彼は去る前に確かこう言った。
“ここに居ろ……不機嫌極まりないですな。
そんな見るからに可愛げのない不貞腐れた表情に、怒りすら覚える。”
やっぱり怒ってるんじゃ……
「彼は天邪鬼かもしれないわ。
私もあの世界でのセブルス・スネイプを見て居るから分かる。
あの時必死に傷付いた私の体を魔法で直し、何度も名前を呼んで居たのよ。
普段の様子とは想像出来ないくらいに、必死な形相で。」
じゃあ、セブルスは私の為にこの場所から離れた？
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作者名：壱 | 作成日時：2020年12月6日 18時
