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「吾輩とて、貴様に付き合っている程暇ではないのだがね……」
腕を組み、私を見下ろす視線は、冷め切って居た。
氷の様に冷たい。
だがその瞳の奥に見え隠れする優しさを、私は知っている。
別の世界で見て来た彼は、意外にも不器用な人で、口では嫌いアピールをしていても、本音では私を心配してくれているから。
『セブルス、行きますのです！
僕はセブルスとお出かけが出来てうれしいのですよ、にぱー⭐』
「どうやらこの世界の未来は変わらないようね……
私はどうしたってこのセブルス・スネイプと一緒に買い物に行き、その出かけ先で殺される。
短い人生だわ……」
分かってる、もうこの世界の運命は決まっているんだ。
このまま私は死を受け入れるしかない。
「何がそんなに気に食わんのだ？」
死の運命を突きつけられ、どんなに気をつけて居たとしても、表情には出てしまって居たようだ。
私は咄嗟に惚けてみた。
『にぱー⭐』
「素直に言ったらどうだこの狸が……吾輩と出かけたくないとな。
貴様の物言いと表情とが噛み合っておらん。
そんなんでは、吾輩は騙されませんぞ。」
今までに無い展開だった。
だから私は返答に時間を用してしまったが、それでも僅か数秒だろう。
私はありったけの笑顔を振りまく。
『そんな事ないのですよ！
僕はセブルスと一緒だから、うれしくてるんるんになって、心がはずみますです！！
今ならスキップも上手にできるのですよ、にぱー⭐』
じっと顔を見られると、何だか悪い事をした後みたいに感じて来る。
「全く、お前は本当に面倒な餓鬼だ……行くぞ。」
そう言ってセブルスは私の体を半ば強引に抱え上げると、歩き出した。
ホグワーツ城を後にし、セブルスは私を抱えたまま姿くらましを使い、一瞬にして着いた先は、もれ鍋だった。
気持ち悪い……
慣れない感覚に顔を歪めた。
周りは映画で見た事のある光景だ、だが今回も純粋には喜べそうにない。
「いつまでイヤイヤ期を続けるつもりだ、Ms.フルデ……」
無理矢理立たされた私は、人の多さに悪酔いし、倒れそうになる。
気分が悪い。
多分姿あらわしの後遺症かもしれないが、それにしたって気分は落ち込み最悪だ。
死のカウントダウンがどんどん近付いて来る感覚は、背筋が凍る。
ああ、私は死ぬんだ……
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作者名：壱 | 作成日時：2020年12月6日 18時
