43 ページ44
腕組みをして、壁に背中を預けて立つ彼に、私は近付く。
『セブルス、僕を待って居てくれたのですか？』
私に気付いたセブルスは見るからに嫌そう何顔をして、不機嫌さをこれでもかと露わにしながら、歩き始めた。
『待って下さいなのです！』
私は慌ててセブルスを追いかけたが、足が絡れて盛大にずっこける。
毎回毎回思うけど、身長が伸びないって、ほんと大損だわ。
早くおっきくなりたい。
もちろん、想定して居た痛みは訪れず、セブルスの魔法により、私は宙に浮いて居た。
『貴様は碌に歩けんのかね……」
『ごめんなさいなのです……
あと助けてくれて、ありがとうございます、なのですよ、にぱ〜⭐』
笑顔でお礼を言ったつもりが、舌打ちをされ、そのままセブルスの脇に抱えられる。
「お前は気味が悪い……」
子供に対してその言い方はと思ったが、セブルスは黙ったまま城の地下の居室に向かった。
彼の部屋にしては似つかわしくない、大きなクマのぬいぐるみや、子ども用の服やオモチャ箱が置かれている。
それは変わらない。
「先ずは着替えて体を洗って来い。
その薄汚い服を何とかして来るのですな……」
そう言って無理矢理に着替えとタオルを押し付けられて、私は浴室に締め出されたのだった。
溜息を吐いて、言われた通りに服を抜ぐと、私は浴室の中に入る。
温かいシャワーで全身を流す。
セブルスが居ない今なら、梨花と話すチャンスだ。
『梨花……』
「明日アルバス・ダンブルドアと話しが出来るわね。」
『うん、アルバスに話して、私の危機的状況を伝えれば、きっと守ってくれる。
何かここまで長い道のりだったけれど、やっと何だか前進出来た気がするよ。』
「そうね……」
だが、梨花は何故か浮かない顔をして居る。
『梨花……？』
「ああ、ごめんなさい。
思い過ごしだったかも。」
『どうかしたの？』
「何でもないわ。
さあ、そろそろ上がりましょう。
あまり遅いと、怒られるわ。」
『それもそうだね。』
私はその後、シャワーを終えて着替えを済ませると、寝室に向かったのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：壱 | 作成日時：2020年12月6日 18時
