20 ページ21
「出て行け……作業の邪魔だ。」
「相手を逆撫でしたら意味ないわ。
ここは素直に引くのが賢明な判断よ。」
確かに梨花の言う事も一理ある。
けれどどうせなら、私は知りたい。
『セブルス、僕と一緒に朝ご飯を食べに行きませんか？
出来たての朝ご飯は、ほっかほかのふっかふかで、とってもおいしいのです。
それに一人で食べるご飯よりも、誰かと一緒の方がもっとおいしく感じますです。』
梨花ちゃま的かぁいいモードを発動したのだが、やはり目の前のセブルスには通用しなかった。
「早く出て行け……」
『では、セブルスの作業が終わるまで、僕は大人しく端っこで静かに待っていますです。
そしたらセブルスは、僕と朝ご飯を一緒に食べに行ってくれますですか？』
奥歯を噛み締め、歯軋りをした彼はふんと鼻を鳴らして作業を再開した。
私は教室の隅に移動して壁に背中を預けて座り込む。
「どうして一緒に行動するの？」
『本当にセブルスが私を殺すなら、今は絶好の機会じゃない？
二人っきりだしね。
でも、多分殺せばすぐに疑われるのは確実でしょ。
だから逆に誰にも疑われないような、偶然を装える環境を作り出そうかなと。』
「もしかして、あの男が食事に毒でも盛ると？」
『うん……セブルス・スネイプは、魔法薬学の教授で、毒薬なんて彼にとっては朝飯前だよ。
だから殺そうと思えば、きっとその機会を狙ってる筈。
わざわざ一年間の猶予を与えてあげるなんて、可哀想かなと……』
「馬鹿じゃないの！
そんな事をしたら、態々殺してくれと言っている様なものじゃない！」
『だから本当にセブルスが私を殺すか確かめるんだよ。
私を殺したいなら、そんな一年後まで待つ必要はないし。
もしこれで殺されたら、今度は完全にセブルス・スネイプを敵として考えて行動すれば良い。』
「………なるほどね。
使える手段は何でも使うと。
それが例え自分の命でも……手段を選ばずにとはね。」
そうだ、この世界での私達の
その為にも、先ずは信用出来る仲間を探さなければならない。
『まあ、死んでもやり直せると分かっているから、出来る芸当だけど。』
「いいわ、どの道私達は運命共同体だもの。
貴方の作戦に乗りましょう。」
『うん、ありがとう梨花。』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：壱 | 作成日時：2020年12月6日 18時
