幼女が求婚されて困ってます！ (ページ9)

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7.あの日の記憶ページ9

学秀side～

小さくなった母さんと手を繋ぎ、外に出た。

それにしても変な感じだ。

こうしてまた母さんに会う事が出来るなんて……

ふと、僕の脳裏にはあの日の事が過ぎった。

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椚ヶ丘学園中等部の卒業式を終えて、高等部に上がる前に、母さんは家族で旅行に行きたいと言った。

それまで忙しくしていた父は、理事長職を辞めて新たに塾を開く前に少し時間があるからと、母さんの提案を了承した。

それならと、僕は二人を送り出す事に決めた。

母さんに今まで寂しい思いをさせていたあの男に、少しでも母さんの為に時間を使う様にと言ってやれば、あいつは鼻で笑って当然だと憎たらしい笑顔を向けていた。

ああ、思い出しただけで腹が立つ。

母さんは、僕にも一緒に来る様に言ったが、適当に高校と言う新たな新天地の支配体制を築く為の土台造りに専念したいと伝えて、その申し出を断った。

代わりにお土産には期待していると伝えれば、母さんは渋々頷いてくれた。

そしてあの日になる。

学秀「二人で仲良く過ごして来て下さい。」

玄関先で、旅行に出かける父と母を見送った。

母はこの日をずっと楽しみにしていた。

僕の前だと言うのに、父の腕に自分の腕を絡めて、微笑んでいたのを覚えている。

母を取られた様な感覚ではあったが、父を前にして嬉しそうな母の笑顔に、僕は敵わなかった。

やっぱり母さんを心の底から笑顔に出来るのは、こいつなんだと、思わせられたからだった。

そんな二人を見送った後に、事件は起きた。

最初は受け入れられなくて、僕は何か夢でも見ているのでは無いかと考える程に、それは信じられない事だったと思う。

二人の乗った電車が脱線し、近くの病院に搬送されたと知らせを受けたからだ。

病院に着いて、二人が居る部屋に案内された。

意識不明の重体

母もそして、あの父親(怪物)も……何も言わずに、死んだ様に眠っていた。

僕はその日、一人になった。