20.一時休戦 ページ22
學峯side〜
學峯「すまないね、律さん。
私の発言に一々子供の様に気にして、しつこく聞いて来る子がいてね。」
学秀「お言葉を返すようですが、そうやって相手を一々逆撫でする様な発言をわざとして来る幼稚な物言いも、どうかと思いますけどね。」
學峯「ほら、そうやって一々反論しようとするのをやめなさい。
それは幼い子供のする事だよ、浅野君。」
学秀「貴方もですよ、父さん。
そうやってわざと相手を逆撫でする様な発言は、お控えになった方が良いでよ。よ。
何度も繰り返すしか能が無いのかと思われますから。」
律〈あの、お二人とも……〉
ガチャ!
目の前の扉が開き、中から私達を不機嫌そうな顔をして見上げる妻が出て来た。
『おい!
何度言ったら、分かるんだ貴様らはっ!!
部屋の中までくだらない貶し合いを聞かせおって、この馬鹿者!!
いい加減にしろっ!!!』
学秀「か、母さん……!!?」
息子は驚いて後ずさる。
恐らく妻の口振りに慣れていないからだろうが……
こんな事で取り乱すから、未熟者だと言われると言うのに、息子はまるで成長していない。
強者ならどんな状況下でも、表情を変えず冷静に立ち居振る舞い、臨機応変な態度を取り、相手を制圧しなければならないと言うのだが。
息子はまだその地点まで到達していないようだった。
學峯「すまないねA。
一々突っかかろうとする問題児がいてね。
それより君と話がしたい。
もちろん、二人で。」
妻に顔を向ければ、睨まれた。
『お前との話は後だ。
いいか、二人仲良く出来ぬのなら、私は出て行くからな。』
それは困ると思い、仕方なく息子に顔を向けると目が合った。
學峯「悪かったね。」
学秀「いいえ、僕の方こそ。」
お互いに笑顔と言う名の作り笑いを浮かべて謝罪するが、そんなのは形だけだ。
私の息子だからこそ、互いを分かりきっているので、後の行動の予想が付く。
本心は押し殺し、どこかで必ず今日の仕返しを計画し、実行する。
全く似た者同士の扱いの面倒さは、今に始まったことじゃない。
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翡翠(プロフ) - 更新大変だと思いますが身体に気をつけて頑張ってください (2020年4月17日 7時) (レス) id: 3260124100 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:壱 | 作成日時:2020年1月22日 19時