幼女が求婚されて困ってます！ (ページ18)

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16.父VS息子ページ18

息子と共に家に帰ると、予告無しに帰りの早い夫が私達を出迎えた。

腕組みをして、私達を見下ろす夫は、無表情だった。

そして言わずもがな、私の隣に立つ学秀も夫を前にして、物怖じせず見上げている。

何だかこの空間の居心地が悪い。

そう感じているのは私だけでなく律も同様で、お帰りなさいと彼女から声を掛けられてから、すぐに居なくなってしまった。

学秀「どうも、お久しぶりですね理事長。」

學峯「久しぶりだね、浅野君。

まさか君がここに現れるとは……意外だったよ。」

学秀「意外？

それはどう言う意味ですか？」

學峯「いやね……君の事だから一人ぼっちが寂しくて生活出来ないくらい、泣き喚いてやって来たのかなと。」

それは言い過ぎだと反論したかったが、學峯に手で制された。

どうやら夫は、私に口出しをするなと言いたいらしい。

学秀「貴方の方こそ、息子に会えて内心感動で今すぐにでも泣き出したいんじゃないんですか？

良ければ、僕の胸を貸してあげますよ。

もちろん利息付きで。」

學峯「ほぅ……言いたい事はそれだけかい？」

学秀「いいえ、まだありますよ。」

そう言うと、息子は作り笑いを浮かべる。

学秀「どうやら貴方は、今の母さんの仮の婚約者だそうですね。

自分が母さんと幾つ離れているか理解してるんですか？

全く、犯罪者予備軍にまで成り下がるとは、貴方も落ちぶれたものですね。」

學峯「君の方こそ、許婚だと吠えて回ったそうじゃないか。

私に対抗したいからと言う理由で口から出まかせを言ったは良いが、随分と幼稚だな。」

ああ言えばこう言う関係の二人が話し出したら、キリがない。

この二人は、お互いがお互いを言葉(暴力)で潰すまで続けるのだから。

全く面倒な関係である。

だからこういう時は……

『良い加減にしなさいっ！！』

思いっきり雷を落とすのが得策なのである。

『久しぶりに会ったから、積もる話しもあるかと思っていたのに、二人で貶しあってどうするのよ！！

それに付き合わされる私の身にもなって頂戴！！

言っておくけど、まだ二人で馬鹿騒ぎを続けるなら、外でやって。』

そう伝えて、私は自室にへと向かった。

全く、二人が揃うと面倒事が増えて困る。

でも、あれが今までの二人では当たり前の光景だったのだから、それを久しぶりに見れて嬉しかった様な複雑な思いもあったと言うのは、内緒にしておこう。