神の降臨【シャーロットside】 ページ8
「そこまでですよ、神坂さん。」
コツコツと聞こえる靴音。
燃え盛る炎と、爆破による落下物で奥は分からないが、そっちの方から聞こえた聞き覚えのある声に舌打ちをする。
来るなら何でもっと早く来ない！
心の中で吐き捨て、炎に映るシルエットが露わとなると現れた神を睨んだ。
この場に似つかわしくない真っ白なスーツに身を包み、肩にかかる茶髪を後ろで結んだ男。
鳴海清隆だ。
着ぐるみなしのこの男を見るのは二度目。
一度目は長い眠りから覚めた後に見た。
「鳴海清隆……！？
何故、お前がここに居る？」
動揺を隠せないのか、声が震えて鳴海清隆を凝視する神坂。
やはり、神の影響力は計り知れないようだと悟る。
今まで冷静に対応していたであろう神坂が、神の登場により精神的に揺さぶられているからだ。
あの狸が、目線を泳がせて定まっていない。
「色々とごたごたが片付いたので、こちらに足を運んだんですよ。
そういうことなので神坂さん、ここは私に免じて引いてもらえませんか？」
ごたごた……
確か鳴海清隆は事前の説明で、月臣学園でのことを話していたか。
カノン・ヒルベルトというブレードチルドレンが、騒ぎを起こすためにその対応をしなければならないと。
学園に立てこもり、鳴海歩と言う神の弟を人質に取り、学園に存在する残されたブレードチルドレンの全員抹殺を計画していたと聞いたが、それが片付いたのだろう。
でもそれだけで、高みの見物好きの神が現地に足を運ぶのか？
愛想笑いを浮かべる鳴海清隆の真意はやはり読めない。
彼は何を企んでいるのだろうか。
神が自らこの地に足を運んでまでしたいということは……
まさかAの為？
鳴海清隆お気に入りのブレードチルドレン。
高梨A。
Aは随分前から清隆を知っているようなことを言っていた。
確か、神が悪魔を倒した日に初めて会ったと聞いた気がした。
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作者名：壱 | 作成日時：2019年1月23日 21時
