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小話【赤井side】 ページ30

ホテルを出た俺は、やってしまったと後悔をした。



ヒズミ君の言動に、年甲斐にもなく嫉妬心に火が付き、Aを請求に求めようとしてしまった。




これでははあの悪魔と同じだ。





鳴海清隆から聞かされたAの過去に起きた事と、同じことを俺はしようとして……彼女を傷つけた。




それに好きになり過ぎた余り、Aを求めて、俺に繋ぎ止めようとしていた。




彼女の死への思いが、全て俺で塗り替えられれば、それでいいと思って……




そんなことをすれば、怒るのは当然だ。




彼女にとってそれは今まで生きて来た全てを否定させることになるんだ。



“私から希望を奪うの”



怒りと悲しみの篭った声が頭から離れない。





“いいかい、昴君。


Aの希望はね、死ぬことだよ


死んで自由になること。


自分を壊す遺伝子レベルの鎖から解放されることなんだ。



それを求める彼女は今まで必死に生きて来た。


欲しいものも、大切なものも奪われる世界の中で、心を押し殺し生きて来たんだ。


自分がどういう者か、それを知ってもなお彼女を突き動かして来たのは、希望があったからだよ。


自分が置い求める希望を、いつかこの手にできるかもしれない。


そんな彼女の思いがあったから、今まで生きて来れたんだ。


それを君にはまず理解して欲しい。”






そう言われていたのにな……






あの子はこうなることを予想していたのか。



竹内理緒



彼女が俺に忠告して来たのは、正にこのことだ。



“次元が違う程の暗黒の闇”



それを抱えて生きているA。




俺はAを救えるのだろうか。




いや、こんなんで一々音を上げていては、大切な仲間に近付くなと、また竹内理緒に怒られるかもしれない。




それに、誓ったじゃないか。



Aを助けると。



死なせはしない。


離さないと決めた。




もう一度彼女と話し合おう。



そう考えて俺はホテルに引き返した。



だが




何故、安室君が?




Aと一緒に歩く安室君の姿を目にした俺は拳を握りしめた。

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作者名: | 作成日時:2019年1月23日 21時

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