・ ページ4
『…あなたは何故ここにいるんですか』
島の離れに来た二人。
人に見つかるとまずいと感じた少年が少女を連れてその場を離れたのだ。
…気のせいか、少女は先程よりよっぽど人間らしい顔をしている。
シュウ「おれ、ずっと一人なんだ。両親は死龍の襲来で亡くなった」
『死龍…』
流石の彼女にも死龍の存在は知っていたようだった。
十年に一度訪れる大災害。その被害はいつも予想の遥か多くの死者を出している。
シュウ「孤児院には行けないから、ここで両親の墓を守りながら過ごしているのさ」
『食べ物は?』
シュウ「…そこら辺に落ちているものとか」
『そんな…』
孤児としてその日暮らしをしているという少年。
彼曰く、強大な力を持っているせいで他の子供たちを怖がらせてしまうため孤児院には行けないとのこと。
家族を死龍の手によって亡くしたこと、それから一人でここにいること。
孤独だったこと。
『…私と、一緒ですね』
シュウ「え?」
『私も…孤独だったから』
物心ついた時から商人達と過ごしていた少女。
それ以前の記憶等全く覚えておらず、自分は売られるためにここにいると教えられてきた。
家族、友達、そんなものは絵本の中だけの御伽噺だとも思い込んでいた。
もちろん商人たちに情などない。そんな環境で彼女は育ってきた。
言わば孤独。
『…でも、今はあなたがいる』
涼しいそよ風が二人の間を通るように吹き出す。
『助けてくれて、ありがとう』
11人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ